日本ローカル鉄道の旅 その5(特別篇)
京都から稚内まで 鈍行列車乗継ぎ6日間の旅(6)
北小路 博央(北)
第5日:函館―長万部―小樽―岩見沢―滝川 369km
動き出した列車を停めるのも「乗り鉄」のワザか
8時14分函館発長万部行鈍行で出発、今日は函館本線を滝川までひたすら走る日である。途中森駅で20分停車の間に駅弁日本一を誇る「いかめし」を買う。いかの中にご飯をつめて煮ただけのものだが、安くて美味い。12時19分長万部発小樽行鈍行は3時間の長丁場に一輌だけのレールバスだが、2+4のクロスシートがゆったりしていてトイレがあって一安心。長万部の駅弁「かにめし弁当」が配られたが、これが辛くてペットボトルのお茶をがぶ飲みする。長万部―小樽間は山線と称するが、その名の通り山の中を上がったり下がったり、今までで一番疲れた区間であった。
日本一の駅弁 森駅のいかめし
小樽での一時間に駅前の三角市場を覘く。狭い倉庫のような市場でいささかがっかりする。16時41分小樽発岩見沢行は「快速石狩ライナー」で札幌を通る都会型電車である。快適に走って着いた岩見沢駅でハプニングが待っていた。岩見沢での乗り換え時間は6分、しかも跨線橋を渡らねばならない。御一行はよたよたと階段を登り始めたが、家内がホームの端にエレベータがあるのを発見、それを利用しようというアイデアは良かったのだが、そのエレベータの昇り降りの遅いこと。私たちが出発ホームに着いたと同時に18時37分岩見沢発滝川行鈍行はドアを閉めて動き出したではないか。すわ一大事と私が運転士に向かって必死に手を振ったのが見えた運転士がブレーキをかけてドアを開けてくれたのである。ようやく乗り込んだ二人を見て添乗のY氏が「どうされたのですか」とびっくり、御一行の一番あとにいて後ろには誰もいないことを確認、全員乗り込んだと思いこんでいたらしい。動き出した列車を停めてくれるJRは北海道以外ではないのではないかと思う。危ういところで岩見沢―滝川間43kmのタクシー代を払う破目になるところであった。
小樽はナホトカの姉妹都市
滝川では小さな「ホテル三浦華園」に投宿。夕飯は滝川名物ジンギスカンレストランへ全員でくり出す。真っ暗な広い道路は歩くのには微妙な距離で悪評紛々、添乗のY氏はいささか閉口気味で「帰りはタクシーを呼びます」と言う。ところが帰りは食べ放題のジンギスカンを食べ過ぎて腹ごなしに歩こうということになってしまう。高齢者とのお付き合いは添乗さんにとっては大変だと同情する。
(続)