日医が一体改革素案について見解、大枠は評価  PDF

日医が一体改革素案について見解、大枠は評価

 日本医師会は2月1日の定例会見で、社会保障・税一体改革素案について見解を発表した。「社会保障の機能強化と持続可能性の確保を目指す」「消費税率の引き上げ」など大枠の理念には理解を示し、「方向性は同じ」「異論はない」と評価した。ただ、医療機関の控除対象外消費税問題や急性期病床の位置付けなど個別の項目には注文を付けた。

 消費税の「社会保障目的税化」について、「厳密に言えば、消費税収の範囲で必要費用を賄うことを意味しており、不足した場合には消費税率を引き上げるか、必要費用を範囲内に圧縮するしかない」と指摘。消費税収が不足した場合には他の財源も充当することを維持すべきと提案した。

 控除対象外消費税ついて、高額投資にかかる負担への手当てや検証する場の設置などが記載されたことを評価。ただ、今回の改正は8%引き上げ時までに限定すべきとし、「10%引き上げ時には、仕入税額控除が可能な税制に改め、患者負担を増やさない制度を求める」とした。

 公的医療保険制度の在り方では、日医として「国民の安心を約束する医療保険制度」を提案していると説明。素案を受け、全国一本化を4段階で進める道筋に一部修正を加えている。医師確保対策では2011年4月に発表した「医師養成についての日医の提案」の意義をあらためて説明した。

 医療提供体制では、「急性期病床の明確化」の方針に対して「急性期医療と在宅医療の中間に立つ一般病院や診療所の機能強化が重要」と述べ、医療法への位置付けに向けた急性期病床群(仮称)の議論に警戒感を示した。「一般病棟における長期入院の適正化」についてはDPC病院の在院日数の推移などを示し「平均在院日数の短縮化が限界に来ているのではないか」と指摘。「在宅医療の拠点となる医療機関」には地域医師会が調整の役割を果たすべきと提案した。

 「チーム医療の推進」では、看護師特定能力認証制度に反対する意思をあらためて示した。新たな資格の創設が看護師不足を招き、一般の看護師の業務を縮小させると懸念を示した。

 「地域包括ケアシステムの構築」では、「在宅」「居宅」「居住系施設」などの定義を明確にする必要があるとし、有料老人ホームなどの「集合住宅」へのサービス提供は新たな報酬体系を作るよう提案した。介護予防・重度化予防はケアマネジメントがカギになるとし、医療と介護の連携には多職種による退院調整のカンファレンスが必須と述べた。

 「総合合算制度」の前提となる番号制度の導入については、「公平な負担と給付のために所得や保険料を捕捉するシステムが必要」と理解を示した。ただ、番号制度が社会保障の現物サービス給付に持ち込まれることに危惧を示した。(2/2MEDIFAXより)

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