新薬創出加算「薬価調査踏まえ検証」/中医協部会  PDF

新薬創出加算「薬価調査踏まえ検証」/中医協部会

 厚生労働省は10月28日の中医協薬価専門部会に、次期薬価制度改革に向けた議論の進め方や論点を示した資料を提出し、了承された。資料では、製薬業界が本格実施・恒久化を求める「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」について、2011年度の薬価本調査結果などを踏まえ試行的導入の影響に関する検証を続けることを明記。この資料に基づき10月中旬に開催予定の次回以降、議論を深めていくことになった。

 了承されたのは「次期薬価制度改革に向けたこれまでの主な指摘と今後の議論の進め方」。新薬創出加算について、適応外薬などの開発・上市状況に加え、財政影響や後発医薬品の使用状況を薬価本調査結果を受けて議論することなどを記載している。

 診療側の安達秀樹委員(京都府医師会副会長)や公益の牛丸聡委員(早稲田大教授)は財政影響額について、09年9月の薬価本調査結果に基づき算出したデータ(702億1000万円)だけではなく、10年度実績データの提出を求めた。しかし厚労省保険局の吉田易範薬剤管理官は「薬価本調査は2年に1回のため、10年度実績データを示すことはなかなか難しい。(データは)11年度の薬価本調査結果を使って示したい」と理解を求めた。

 支払い側の白川修二委員(健保連専務理事)は「そもそも加算はドラッグ・ラグ解消が大きな目的だった。ラグがどれぐらい短縮したか数字を示してほしい」と要請。吉田管理官は、ラグの問題は新薬創出加算以外の要素も関わっているとしながらも、データ提出を検討する考えを示した。

 資料ではまた、業界が実現を求める「医療上の必要性が高い医薬品の薬価を据え置く仕組み」について、「現時点では導入の可否を判断するための材料が不足している」と指摘。▽薬価を維持する必要性や患者等へのメリット▽対象品目・期間等の考え方―の2点を論点に位置付けた。診療側の三浦洋嗣委員(日本薬剤師会常務理事)は「医療上の必要性が高い医薬品がきちんと存続できる仕組みが必要。議論しやすい資料をそろえてほしい」と求めた。

●市場規模予測に疑問の声
 原価計算方式で算定した新薬の市場拡大再算定については「市場規模が特に大きく拡大した場合に、市場規模の基準額(150億円超)を引き下げて、対象を広げてはどうか」と明記している。

 対象拡大の是非への意見は出なかったものの、安達委員は市場拡大再算定と関わる新薬の市場規模予測について「適応拡大もしないのに(予測より)ものすごく拡大しているものがあるのは極めて理解し難い」などと述べ、市場規模予測が正当に評価されているかを問いただした。吉田管理官は「薬価算定組織で正しいかどうか確認している」と答えたが、安達委員は「またやらせていただきたい」と引き続き訴えていく姿勢を示した。(9/29MEDIFAXより)

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