新薬など研究開発費に約200億円/厚労省、概算要求の特別枠  PDF

新薬など研究開発費に約200億円/厚労省、概算要求の特別枠

 厚生労働省は8月24日、2011年度政府予算の概算要求の特別枠に、新薬などの研究開発費として約200億円を要望する方針を固めた。厚労省が特別枠として政府に要望できる額は計1287億円で、ほかに「子宮頸がんワクチンの公費負担事業」(150億円)や「大腸がん検診の普及啓発事業」(30億円)なども予定している。

 特別枠の要望項目のうち、事業費が一番大きいのは約200億円の研究開発費。政府が6月に閣議決定した「新成長戦略」のライフイノベーション(医療・介護分野革新)のテーマに基づいて、省内の各部局から上がった研究事業をまとめた。日本発の革新的な医薬品や、医療・介護技術の研究開発を推進する事業などを盛り込む。

 一方、子宮頸がんワクチンについては、現在約5万円の接種費用が全額自己負担のため、公費負担を求める要望が厚労省に寄せられていた。このため長妻昭厚生労働相は公費負担事業を特別枠で要望することを政治判断した。長妻厚労相は8月4日の参院予算委員会で、公費助成に必要な経費を概算要求に盛り込む考えを示していた。厚労省健康局結核感染症課によると、任意接種のワクチンで国が公費負担した前例はない。今回、子宮頸がんワクチンの予算要望が通れば初の公費負担となる。

 また、大腸がん検診の普及啓発事業は受診率向上が狙いだ。厚労省の国民生活基礎調査によると、07年の大腸がんの検診受診率は男性27.5%、女性22.7%と低い数字にとどまっている。政府の「がん対策推進基本計画」では、11年度までに受診率を50%以上にすることが目標として掲げられており、普及啓発事業の実施で目標達成を目指す。

●チーム医療や指導医の支援も

 このほか特別枠には、都道府県ごとに医師派遣の拠点を設ける「地域医療支援センター事業」(仮称)に20億円、チーム医療に取り組む医療機関に対して人件費を補助する事業に20億円、産科や小児科など、医師不足に悩む診療科の研修指導医を支援する事業に30億円を盛り込む案が浮上している。

 各省庁から上がった特別枠の要望は、政府が公開の場で行う「政策コンテスト」にかけ、菅直人首相の政治判断で特別枠に盛り込む1兆円超の事業を決める。(8/25MEDIFAXより)

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