新年/谷口 謙(北丹)  PDF

新年/谷口 謙(北丹)

詩を書こうと思い詩が書けるのなら
おまえはいくらでも詩を書きなさい
淋しいとか
つれないとか
独り呟いて詩が作れるのなら
新しい世界が開くのなら
うら悲しい世が慰められるのなら
紅葉は色褪せて来た
鈴なりの柚子の灌木
堀ぎわに一本立っている
去年は不作だったが
今年は豊作
緑と黄 鈴なりだ
刺にさされながら
実をよじると
大きな息を吐く
また新しい年が来て
おまえは何か淋しがるか
新年とはどんな年
新しい年とは苦しいか
いや新しい年にも書いていこう
雑念を払い捨て
新しい詩をためしてみよう
たしかに無謀だが
新しい澄んだ詩を

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