新年度にあたって 医療安全対策部会
副理事長 林 一資
京都の医療安全は保険医協会から
協会の医療安全対策部会は半世紀を超える歴史を持っている。また、全国の保険医協会で唯一の部会である。この度、副理事長として再任するにあたり、改めて責任の重さを痛感するとともに、気が引き締まる思いである。これからも、今まで以上に、会員の医療安全を確保するために努めていきたい。
幸いなことに、医療安全を担当している理事者は経験も豊富で極めて優秀であり、その業績は素晴らしく、全国レベルでみても引けをとることはないと自負している。加えて今日の医療安全部会が存続できるのも会員が協会と信頼関係を結び、問題が起きた際には協力しあい共に悩み前進してきたおかげと感謝している。改めていうまでもないことだが、協会は会員本位の活動をしている。もちろん、医療安全は患者との繊細な関係も重要視していかなければならないが、この会員の先生方との親密な関係を維持することこそが、会員と患者とのより良好な関係を構築するものと信じている。現に、会員から報告される医療事故・紛争は年々減少してきており、医療崩壊が叫ばれていた我が国の医療を取り巻く環境は変わりつつあるのが、肌で感じられるようになってきている。
一方、最近、非常に危惧していることは、この活動を根本から支えている医師賠償責任保険制度についてである。10年前までは医療事故・紛争は異常といえるほどに多発していた。その影響が最近になって、保険料アップという形で表れ始めてきている。開業医の先生方に関してはむしろ値下げ傾向にあるが、かたや病院に関しては、高額の保険料に耐えられず、あるいはわずかな料金の差であっても、より保険料の安い保険に乗り換えられる病院が散見され始めている。これは現行の医師賠償保険の制度上仕方のないことではあるが、肝心なことは、保険料そのものよりも、実際にトラブルがあった際の対応が最も重要であると考える。
先にも述べたように、今後もなお一層協会の会員の諸先生方が安心、安全に保険医療ができるよう、全身全霊努力していく所存である。是非とも協会の医師賠償責任保険のご加入、ご継続をお願い申し上げたい。
今後ともよろしくお願い申しあげます。