新年度にあたって 保険部会  PDF

新年度にあたって 保険部会

副理事長  鈴木 卓

14年診療報酬改定を中心に日常診療のサポート強化へ

 今回、再び保険部会を担当することとなった。今期は何よりも診療報酬改定という重要課題が控えている。先般出された「社会保障制度改革国民会議報告書」では診療報酬改定を中医協任せにさせない意図を含めて改定の方向が一部具体的に示され、この秋にも法制化されようとしている。加えて都道府県医療計画や第6次医療法改定も診療報酬に直結する。特に病床機能の提供体制分化で方向付けがなされ、例えばすでに平均在院日数減少で4400億円削減との試算が出されるなど、医療費配分の重点化・効率化の議論が先行している。その枝葉に報酬額を当てはめるだけが中医協となりかねない。このように前回改定の急性期医療重視・入院から在宅へ・医療から介護保険への動きの第一歩から、今回は大胆な急性期病床数削減を達成しようとしている。ところが、その時削ぎ落とされる病床の行き先=性格づけや報酬に直結する評価・要件についての議論は、混迷を深めている。

 「報告書」では従来の日本の医療費を「医療機関の相当の努力の積み重ね」で「世界に高く評価されるコストパフォーマンスを達成してきた」と総括した。これを改革する「哲学」は福田内閣時代の「社会保障国民会議最終答申」そのままで、なぜ高度で効率的な日本の医療水準とその担い手(医療提供体制や医療者)の現状改変が必要なのか説得力がない。協会はこの「哲学」の正否を問う視点からも診療報酬改定の議論に参加していきたい。さらに前回改定で問題となった不合理点数是正課題も引き続き取り組んでいく。その上で今後の改定議論の中身や決定を速やかに情報提供していきたい。例年通り「ポイント」による説明会、「提要」をはじめとした出版も予定している。

 保険部会の課題としては、他に審査・査定問題、指導・監査問題も大きな柱で、引き続き講習会や個別相談・対応、弁護士斡旋などにも取り組みたい。さらには、在宅支援の活動、社会保険研究会の開催、公費負担医療の出版等々総会方針に則って活動を強めていきたい。

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