新専門医制度に賛否両論/メディファクス調査、「全貌見えず」の声も
日本専門医制評価・認定機構(専認機構)が従来の「学会ごとの専門医認定」を改め、第三者機関が専門医を認定する新たな専門医制度の基本設計案を示したことに対し、各病院団体からは賛否両論の意見が上がっている。各団体を対象にメディファクスが行った調査では、「移行すべき」との意見があった一方、「これまでの学会主導を続けるべき」とする意見もあった。新たな専門医制度に対し、団体間で多様な認識がある現状が浮き彫りになった。
日本病院団体協議会に所属する11団体に調査票を送付し見解を聞いた。各団体は会長・理事長らが回答。全日本病院協会は、調査票と同じ内容を役員に質問し、回答のあった13人の意見を寄せた。全国公私病院連盟と労働者健康福祉機構からは回答が得られなかった。国立大学附属病院長会議は「特に検討を行っておらず、各調査項目にお答えできない」と文書で回答した。
第三者機関の認定に移行すべきとしたのは、日本病院会と日本慢性期医療協会、国立病院機構の3団体。ただし「専門医の認定に学会加盟を条件としない」(国病機構)、「学会間の差を調整する機関は必要」(日慢協)などの注文が付いた。一方、全日病はこれまでの学会主導を続けるべきとの意見が約半数を占めた。日本医療法人協会、日本精神科病院協会、全国自治体病院協議会、日本私立医科大学協会(医大協)の4団体は、どちらとも言えないと回答した。「第三者の正体が分からない」(医法協)との意見もあった。
専門医の適正数を明確にすべきかとの質問については、日病、日精協、医法協、医大協、国病機構の5団体が明確にすべきとした。「国・地域の対象患者数に合わせるべき」(日精協)、「ある程度、示して、適正な配置を考慮すべき」(医大協)との意見があった。日慢協は明確にすべきでないとし、全日病も明確にすべきでないとの意見がわずかに上回った。全自病はどちらとも言えないとした。
今回の調査の結果について厚生労働省医政局医事課の田原克志・医師臨床研修推進室長は、新たな専門医制に関心を寄せているとしながらも「まとまっていくなら応援していきたい」と述べるにとどめた。
専認機構の基本設計案では、基本領域の医師を「基盤専門医」として認定し、その上で専門領域の医師を「診療領域専門医」として認定する2階建ての仕組みを導入する。認定は学会ではなく第三者機関が行う。専門医の適正数を将来的に明示するとしているほか、医師は認定を受けた専門医領域を標榜すべきとしている。(7/7MEDIFAXより)