新しい高齢者制度、13年4月施行/厚労省の改革会議が初会合
厚生労働省は11月30日、高齢者医療制度改革会議の初会合を開いた(資料37ページ)。後期高齢者医療制度の廃止を打ち出した新政権の方針に沿って、新たな制度設計を検討する議論がスタートした。会議には長妻昭厚生労働相も出席。新制度は2013年4月施行を目指す方針を示した。
厚労省は高齢者医療制度改革のスケジュールを示した。同会議の中間取りまとめは10年夏までに終え、意識調査、地方公聴会などを経て、同年末までに最終取りまとめを行う。翌11年1月の通常国会に制度改革に必要な法案を提出。同年春までの成立を見込む。その後、2年間の施行準備期間を置き、政省令の制定や、すべての市町村でのコンピューターシステムの改修、実施体制の見直し・準備・広報に取り組む。後期高齢者医療制度が法案成立から施行まで2年間を要したことも踏まえ、13年4月の新制度施行につなげていく考えだ。
長妻厚労相は冒頭のあいさつで、後期高齢者医療制度は「75歳以上の診療報酬を少なくし、医療費を逓減する発想が背景にあった」と批判。高齢者医療に対する国民の信頼回復を図りながら「持続可能な制度にすることが不可欠」と述べ、制度改革の必要性について理解を求めた。
また、「制度改革は2段階で考えている」と説明。第1段階は従来からの保険料軽減策などに取り組み、第2段階は13年4月の制度変更を指す。
委員によるフリーディスカッションで三上裕司委員(日本医師会常任理事)は、新制度創設に向けて「医療について理念を掲げてもらいたい」と要望。患者の窓口負担軽減を求めたほか、保険者間での保険料率の差は社会の不公平感につながると指摘し、将来的な医療保険の一本化も視野に入れた議論を求めた。
近藤克則委員(日本福祉大教授)は「医療の中身を議論する場も設定してもらいたい」と要望。長妻厚労相は次回会議に同省医政局担当者も出席させることで対応する考えを示した。次回会議は10年1月に開く予定。(12/1MEDIFAXより)