文化講座(ギリシア哲学)参加記

文化講座(ギリシア哲学)参加記

 協会は3月14日、第7回文化講座「初歩から学ぶ『ギリシア哲学〜読書の糧としてのギリシア哲学案内〜』」を府立文化芸術会館で開催。32人が参加し、講師・山田道夫氏(神戸松蔭女子学院大学文学部総合文芸学科教授)の話を興味深く聴いた。寄稿いただいた参加記を掲載する。

ギリシア哲学を熱心に聴く参加者(右は山田教授)
ギリシア哲学を熱心に聴く参加者(右は山田教授)

ソクラテス以前を概観する

 たいへんうららかな春の初めの昼下がり、「ギリシア哲学」についてのお話を拝聴しました。

 ギリシア哲学と聞くと、まずはやはりソクラテス、プラトン、そしてアリストテレスの名前が浮かんできます。私個人としては、「ソクラテスの弁明」「クリトン」の疑問点を晴らしたかったことと、難解で知られるアリストテレスの、おおまかな考え方と読みやすい本を教えていただきたかったので参加しました。

 講義は、まず、サマセット・モームの哲学修行から始められ、「要約すると」という本をおすすめいただきました。「Metaphysicsはgood humorをもって無知を諭し、素人に夢想の材料を与える。夢想こそは創造力の源であり、無為を癒す最上の快楽である」

 次に概論としてイオニア・イタリア哲学(BC6世紀)、アテナイ古典哲学(BC4〜5世紀)、ヘレニズム哲学(BC5世紀)、グレコ・ローマン哲学(BC4〜AD6世紀)とかなり詳しく講義されました。ギリシャ世界の成り立ち、ペルシャ戦争、ローマの勃興による社会と文化の変革についても教えていただきました。形而上的なものもやはり時代の子であることは昔も今も同じようです。

 ここからが本論で、ミレトス派のタレスに始まり、デモクリトス、アナクシマンドロス、アナクシメネス、ヘラクレイトス、ヘロドトスなど、名前は知っていてもこれだけ全体の流れを追いながら、それぞれの考え方を学ぶ機会はそうあるものではありません。たいへん刺激をうけました。

 さすがにこれだけの内容だと、2時間があっという間に経過してしまい、初期の目的であるソクラテス、プラトン、アリストテレスには届きませんでした。しかし、数多くの「知」をためこむことができましたし、よい本も教えていただけたので、これを糧にして、自ら考えるという哲学本来の楽しみで無為を癒したいと思います。(下京西部・山下琢)

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