文化企画 祇園に時代、葵 京都のまつりの魅力を再認識
協会は11月17日、京のまつり研究会代表の島田崇志氏を講師に文化講座「京都のまつり〜現状とゆくえ〜」を開催。参加者は14人となった。講座では京都の主なまつりを中心に歴史・現状・魅力などについて解説。各地のまつりとも比較しながら、その特色と課題を説明した。以下に参加記を掲載する。
まつりを通して京都を誇る/山下 琢(下京西部)
文化講演の日は気持ちよく晴れた、のどかなやわらかい日差しがふりそそぐ絶好の昼寝日和となりました。
講師の島田崇志氏は京都市で一貫して文化財保護、景観保護、国際交流に尽くしてこられた方です。京都のみならず日本全国各地のまつりに関しては裏も表も知りつくしておられます。さらに、その清濁をあわせのんで「まつり」というものを深く愛しておられることに、特に感銘を受けました。岸和田のだんじりや長崎くんち、富山の城端、川越まつりなどのすばらしさに触れながらも、京都の、わけても祇園祭を語るには正に口角泡を飛ばさんばかり(実際水の入ったペットボトルをこかさはりました)の熱の入ったご講演で眠気を覚えませんでした。
後水尾天皇が33人も子どもをつくったので現在まで天皇家が続いていることや、会津藩が所有していたベルギー製タペストリーが飢饉で流出して新町に本家のあった三井家が数億円で買い取り、それが山鉾の胴懸になっている等々、大変興味深いお話でした。
時代祭は平安京を桓武天皇と孝明天皇が京の都を観覧するという主旨で、葵祭は国家繁栄・五穀豊穣を祈願して天皇の代わりに勅使が上賀茂神社と下鴨神社に参拝するというおまつりなのだそうです。今では斎王代が主役になっていますが、元はその勅使こそが葵祭の主役で、古来イケメンが選ばれたそうです。
来年から祇園祭は「さきのまつり」と「あとのまつり」に分かれるとのことです。この「あとのまつり」は「後悔先に立たず」の意味ではなくて、実際に7月24日に行われます。織物や人形はこちらの方がずっとよいそうです。まつりは人が見に来てくれないと廃れます。「あとのまつり」がなくなってしまうとそれこそ「あとのまつり」ですので、京都の誇りとして「あとのまつり」を観覧に行って文化財保護に一役買いましょう。
島田先生は現地で実物を見ながらのご説明がさらにすばらしいそうです。次回のお楽しみとさせていただきます。