文化企画 見慣れた景色も歴史が刻まれ 錦秋の東山探訪
恒例の文化ハイキングを10月25日に東山界隈にて開催。蹴上・南禅寺方面を巡った。参加者は総勢18人。以下、参加記を掲載する。
秋の文化ハイキングに参加して
福光恭子(山科)
急に肌寒くなった秋の日に、恒例の文化ハイキングが開催されました。
明るくすっきりした青空の広がる良い天気で、気持ちも浮き立ちます。まずは、ねじりまんぽ※、インクライン、琵琶湖疏水記念館へと向かいます。この辺りは用事でよく通るので、見慣れた景色ですが、やはり講師の脇野先生の解説をお聞きしますと、いつもの風景がより一層興味深いものに感じます。これらの建築物は、明治維新後、東京遷都のために急に寂れていく京都の行く末を危惧した北垣国道知事の執念の土木事業によるもので、特に水力発電施設は、日本初であり、世界でも2番目に造られたという事に驚き、また誇りに思いました。
次に、家康ゆかりの寺院である金地院を特別拝観させていただき、八窓の茶室、手長猿が池に映った月を取ろうとしているユニークな襖絵など、趣向をこらした芸術を間近に見ることができました。南禅寺本坊へ向かう途中、疎水の支流が流れる水路閣を見るために橋の上に登ったのですが、煉瓦造りの水路は、激しい水流に耐え今でも現役で使われており、明治の日本人の物づくりの心意気に感動させられました。
順正で湯豆腐料理を楽しんだ後、この辺りにとびとびに残る財閥の別荘の門構えを見ながら、赤く染まり出したもみじの美しい永観堂へ向かいました。廊下や階段が続きどんどん上がっていくと、京都の町が見渡せるほど高い所に辿り着き、思いがけず絶景を堪能しました。ご本尊の見返り阿弥陀は、見とれるほど優美なお姿でしたし、手入れの行き届いた庭では外国人観光客が何枚も何枚も紅葉の写真を撮っており、日本の美をわかってもらえて嬉しくなりました。
今回は、狭いエリアに見どころがぎゅっと詰まっていて、あっという間の6時間でした。参加できて本当に楽しい1日を過ごすことができ、感謝の気持ちでいっぱいです。皆さま、ありがとうございました。