文化企画 哲学から紐解く「今」
協会は、第13回文化講座「『現代』とはどういう時代か?〜不安な『現代』の乗客たち。マルクスとニーチェとともに考える〜」を3月17日に協会会議室で開催。参加者は23人となった。講師は代々木ゼミナール公民科講師の畠山創氏。以下、参加者の感想を掲載する。
ポスト・モダンの時代 東前隆司(伏見)
現代は政治も思想も経済も混沌とした時代です。思想哲学的にはポスト・モダンの時代と呼ばれます。ルネッサンスを期にキリスト教的な神学から人間的な精神の見直しが進み、デカルト、カント、ヘーゲル、マルクスというひとつの哲学の流れを形成します。近代と現代をどこで区切るかということにも諸説ありますがマルクスまでが近代で、それ以降に批判的に現れたものをポスト・モダンの思想群と考えればいいと思います。
ポスト・モダンの思想はフランスが主だった活躍をします。極めて難解ですがこれらに多大な影響を与えたのはニーチェです。「この世界は強者と弱者が存在し、強者は弱者を利用して自分の力の意思を実現する。それだけが現実でありそれ以外にはどんな世界も全く存在しない」と断言し「あるべき世界とは弱者の目から見たひとつの見方に過ぎない。客観的な現実というものはない。すべては意識のもたらす解釈だ」というわけです。たとえば「保険医協会」というものについて人それぞれ考え方が違う。それを一致させようとする努力は特定の考えを絶対化するだけだというわけです。デリタも人の数だけ真理があるという考えをします。かくして何も決定できないのがポスト・モダンと呼ばれる現代なのです。
「日本的といえるものはいつから始まったか」という問題で司馬さんは幕府という独自の体制を作った鎌倉時代からでそれ以前は模倣期にすぎないと断じ、梅原さんはそれなら万葉集は日本人の作ったものではないのかと反論し激論になったそうです。吉本さんは日本国家の起源は縄文時代から考えないと駄目だと言います。ちょっとした焦点の違いかもしれませんが、このように人はそれぞれ認識を異にします。
今回、講演のテーマを「ポスト・モダンという不安な時代をどう生きるか」と間違って思い込み、見当はずれに参加しましたので講演内容についてコメントはしませんが、講師の方の今後のご活躍を祈ります。