救急外来、患者数減も入院割合は増加/日病が調査
日本病院会は11月26日、2011年度救急医療に関するアンケート調査の結果を発表した。入院患者全体のうち救急外来から入院した患者の割合が前回調査を上回り、救急医療が入院増患の一端を担っていることが分かった。
調査は12年2月7日−3月23日を調査期間に2384施設を対象に行った。回答は726施設で回答率30.5%だった。時間外救急外来患者数は、救命救急センター(ER含む98病院)で09年度の1日平均67人から10年度は1日平均62人に減少した。2次救急病院(593病院)も09年度15.9人が10年度に15.8人となっており、全体的に減少傾向で推移している。
救命救急センター(ER含む81病院)で全入院患者のうち救急外来から入院した患者の比率は、09年度の粗平均値19.4%から10年度調査は20.4%と1.0ポイント増加した。2次救急病院(578病院)では、09年度の粗平均値17.0%から10年度調査で18.2%に増加した。
救急外来患者数が減少傾向にある中で、救急外来から入院した患者割合は増加傾向を示している点について日病は、軽症者の受診抑制が働いている可能性があるとしている。
一方、医師の当直業務に関して労働基準局から指導を受けたことがある病院は、10年度調査で73病院だったが、11年度調査では29病院となった。指導の理由では▽労働基準法に基づく宿日直業務の範囲を超えている▽宿日直の回数が過剰である―などが挙がった。指導を受け、救急外来を縮小した病院と救急外来を閉鎖した病院がそれぞれ1病院あった。
このほか、2次救急病院の救急外来の原価計算についても調査したが回答数が少なく、原価計算のフォーマットの作成などを課題に挙げた。
●政権の行方「見守る」
堺常雄会長は「われわれ病院団体は、どこが政権を取ろうとも現場の状況をしっかり見ながら、着実に良質で安全な医療を国民に提供しなければならないという課題がある。政権の行方を大きな関心を持って見守っていきたい」と述べた。(11/27MEDIFAXより)