救急医療事故、刑の免除を検討/自民・医療紛争あり方検討会
自民党の医療紛争処理のあり方検討会は7月29日、「救命救急医療」で人を死傷させた医療事故に限り、業務上過失致死傷罪の刑を情状により免除できるよう刑法に特例を設ける検討に入った。大村秀章座長が同日、私案として示し、「医療安全調査委員会設置法案」(仮称) と合わせて刑法改正の議員立法化も視野に入れる考えを表明。同法案に基づく診療関連死の原因究明制度に強い懸念を示している救急医療の現場に配慮を示すことで、制度化をさらに前進させたい意向だ。
大村座長が示した私案は、業務上過失致死傷罪を規定した刑法211条に、「救命救急医療」で死傷させた際に情状により刑を免除できる条項を加える内容。自動車運転時に注意義務違反で軽い傷害を負わせた場合に適用されているのと同様の取り扱いだ。
刑を免除する対象となる「救命救急医療」を3次救急のみとするのか、1次、2次救急も含めるのかなど定義の明確化は今後の課題とし、同日ヒアリングに招いた日本医師会や日本救急医学会の関係者らに議論を深めてもらうよう要請した。
死因究明制度をめぐっては、救急現場で専門領域外の救急患者に対応する場面が多いことなどから、日本救急医学会は調査委の設置について「専門医にとっては『標準的な医療行為』であっても、ほかの領域の医師にとっては標準的であるとは言えないことが多い」と指摘。救急現場で専門領域外の患者が死亡した事例が、調査委での専門医の調査により刑事訴追される可能性があることに強い懸念を示している。(7/30MEDIFAXより)