改革シナリオ「地域一般病床」創設へ/政府の社会保障改革案
政府の「社会保障改革に関する集中検討会議」(議長=菅直人首相)は6月2日、社会保障改革案として2025年度の医療提供体制を完成形とする医療・介護サービスの改革シナリオをまとめた。急性期医療をはじめ長期療養・精神医療への医療資源の集中投入や在宅医療・介護の推進などにより機能強化や効率化・重点化を進め、11年度現在166万床ある入院病床(有床診療所を含む)を159万床に再編する考えだ。一般病床は「高度急性期」「一般急性期」「亜急性期等」に再編成し、「地域一般病床」を創設する考えも示した。
改革推進のため15年までに8700億円程度の公費を投入し、一方で平均在院日数の短縮により4300億円程度を捻出する。それに向けて診療報酬・介護報酬の体系的な見直しを行い、一括的な法整備を目指して12年をめどに法案提出を想定している。
一般病床の2割程度を想定する高度急性期には、医療資源を集中投入して職員を2倍程度、単価(入院1日当たり費用など)を約1.9倍とし、平均在院日数を2割程度短縮(15−16日程度)する。一般病床の5割程度を見込む一般急性期では職員を6割程度増、単価約1.5倍とし、平均在院日数は33%程度短縮(9日程度)とする。一般病床の3割程度を見込む「亜急性期・回復期リハビリテーション等」はコメディカルを中心に職員を3割程度増やし、単価も約15%増とし、平均在院日数は2割程度短縮(60日程度)を想定する。地域に密着した病院については、高度急性期・一般急性期・亜急性期・回復期リハビリなどの機能を併せ持つ「地域一般病床」の概念も示した。
慢性期医療を担う「長期療養」では現在の医療区分2・3を医療とする考えで、コメディカルを中心に職員を1割程度増やし、単価も5%程度引き上げる。長期療養では在宅医療の推進・機能強化により、平均在院日数を1割程度短縮(135日程度)する。「精神」についてはコメディカルを中心に職員を3割程度増やし、単価を15%程度引き上げる。同時に、アウトリーチ(訪問支援)などの推進で平均在院日数の1割程度短縮(270日程度)や入院の2割程度減少を達成する考えだ。
その結果、11年度現在で107万床ある一般病床について、現状のまま推移した場合に25年度に129万床になるところを、高度急性期18万床、一般急性期35万床、亜急性期・回復期リハビリ等26万床、地域一般病床24万床の合計103万床に再編する。
長期療養は11年度23万床が現状のままなら34万床まで増えるところを28万床に、精神は11年度35万床が37万床となるところを27万床に再編する。(6/3MEDIFAXより)