改訂版 医療安全対策の常識と工夫(36)  PDF

改訂版 医療安全対策の常識と工夫(36)

患者さんを早まらせないで、訴訟は最後の手段です!

 前回は、患者さんに十分な説明をして(通常の)医療安全の対策を講じていれば訴訟等、紛争の拡大を避けられる可能性が高くなることを述べました。

 ところが、医療機関によっては、一定の説明をした後に、患者さん側の理解が得られない場合に「ここまで言ってもご理解いただけないならば出る所へ出てみては如何ですか? 別に我々(私)は構いませんから」と、およそ助言にもならない発言をされることもあるようです。医療機関側にしてみれば、切羽詰まった結果の言葉なのでしょうが、一度や二度の説明で理解が得られなかったからと言って、そのような発言は必ずしも賢明な態度とは言えないと思われます。

 「それじゃあ、一体どうしたらいいんだ」という方がおられるかも知れませんが、そのような方こそ、過去のこのシリーズ(もしくは「事例で見る医療安全対策の心得」第2章)全てを改めて読み通して下さい。そして場合によっては京都府保険医協会にご相談下さい。それぞれの状況に応じて対応させていただきます。

 協会では「医師賠償責任保険処理室会」を常設しています。ここでは解決手段を当該医療機関と協力して考えていくと共に、紛争の経過ごとの助言もしています。解決までにはほど遠い時期であったとしても、協会と連絡を密にしていただきたいと思います。また、極力、会員の負担が少なくなるように考えていますので、事態がよりややこしくなる前に、紛争が発生した、あるいはその気配を感じた時点で迅速な対応をお願いしたいと思います。「訴訟は最後の手段」と医療機関側が紛争発生前から認識することは、医療安全対策の一つの要素と考えますが如何でしょうか。

 次回は、協会の医療安全対策全般に対する考え方・姿勢をご紹介します。

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