改訂版 医療安全対策の常識と工夫(18)

改訂版 医療安全対策の常識と工夫(18)

私の家族に一体何をした!どうしてくれる!

 患者さんが未成年や高齢者、あるいは移動が困難な場合には、当然のごとく家族が全面的に出てきます。しかも、その家族は一族の代表としての面子をもって意気込んでやって来ることもあります。「私が何とかする」と、家族会議で格好をつけてしまっていることも想像に難くありません。

 よく言われるように、我が国ではアメリカのように国民のアイデンティティーが確立しておらず、一族の意見を無視しては、交渉事が進まないことも多いようです。ここで注意したいのは、日頃、患者さんと付き合いのない、いわゆる「遠い親戚」がクレームをつけてくる場合です。

 京都府保険医協会でも、そのような人にお会いする機会があるのですが、「この人は本当に患者さんのことを心配しているのだろうか? ひょっとしてお金だけが唯一の目的では?」と思わざるを得ない場面に出くわすことがあります。法的に言えば、「遠い親戚」も、前回にお話しした「示談屋」と同様に交渉権は持っていません。しかしながら、医療機関側としては、そのような「遠い親戚」を無視することもできないでしょうから、医師が誠実に医学的な説明をすることをお勧めします。それ以上の話になる気配がした場合には、「この場で直ぐに話せる問題ではない」と毅然とした態度を取るべきです。もちろん、医療過誤が明白な場合でも同じです。単純に見える医療事故でも、解決に至るまでは複雑な過程を経る場合もあることを、十分に認識していただきたいと思います。

 次回は紛らわしい「医事紛争」「医療事故」「医療過誤」の用語についてお話します。

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