改定率は両論併記か/中医協総会、意見書で調整
中医協は11月30日の総会で、診療報酬改定の意見書作成に向けて、診療・支払い各側間の調整に入った。だが、改定率をめぐり双方の認識は依然、かけ離れている状態。プラス改定で医療費全体の底上げを図りたい診療側と、プラス改定では国民の理解が得られないとする支払い側の溝は埋まっていない。厚生労働省が12月2日に発表する薬価調査の結果を踏まえて公益委員が意見書案の作成作業に入るが、改定率に関しては両論併記になる可能性が高い。早ければ12月7日の総会で公益委員が意見書案を提示する見通し。
厚生労働大臣宛ての意見書では、例えば医療従事者の負担軽減といった診療・支払い側で見解が一致している点や、賃金・物価動向、医療経済実態調査、薬価調査の結果などは盛り込めそうだが、改定率など意見が折り合わない部分では両論併記となりそうだ。
前回の診療報酬改定作業では、改定率をめぐって診療側と支払い側が対立し、意見書の取りまとめができなかった。11月30日の会合では、支払い側の白川修二委員(健保連専務理事)が「意見書を取りまとめるかどうかから議論した方がよいのではないか」と発言。これに対して診療側から「両論併記で審議状況報告というのが妥当な扱いではないか」(安達秀樹委員=京都府医師会副会長)、「意見書を会長に取りまとめてほしい」(嘉山孝正委員=国立がん研究センター理事長)といった声が上がり、意見書提出に向けて公益委員が調整することになった。森田朗会長は「中医協として1つの意見に集約するのは難しいが、中医協からメッセージを発することに異論はないか」と確認した上で、意見書の作成に向けて「知恵を出す」と決意表明した。
議論では、支払い側の小林剛委員(全国健康保険協会理事長)が「協会けんぽは保険料率が10%を超えようという異常事態。引き下げ改定が必要と言わざるを得ない」と発言。すかさず診療側の西澤寛俊委員(全日本病院協会長)が「保険者の財政状況も理解するが、質の高い医療を国民に提供することも保険者に考えてほしい」と指摘した。これに支払い側の白川委員も「言われるまでもないが、今の保険者の財政状況ではそういうところに回す金もない。今の言葉はそのままお返ししたい」と応じた。
鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)は「自己負担3割は世界一高いが、消費税5%は先進国の中で余裕があるし、保険料もフランスやドイツに比べて低水準。まだ保険料率が低い保険者もおり、まずは平準化を進めるべきではないか」と指摘した。(12/1MEDIFAXより)