改定率は両論も“反仕分け”で一致/中医協、厚労大臣へ意見書提出  PDF

改定率は両論も“反仕分け”で一致/中医協、厚労大臣へ意見書提出

 中医協は12月7日、診療側・支払い側双方の思いを盛り込んだ診療報酬改定に対する意見書を取りまとめ、小宮山洋子厚生労働相宛てに提出した。改定率をめぐる溝は最後まで埋まらず、ネットでプラス改定を求める診療側と、プラス改定を拒む支払い側の意見を両論併記する形になった。意見書提出を断念した2年前と異なり、今回は完全に見解が一致せずとも意見書は出すべきとの考えで全委員が一致した。総会では、公益委員が作成した素案を基に、診療側と支払い側が互いに相手の意見を尊重・譲歩し合いながら文章を修正し、最終文面に仕上げた。行政刷新会議の提言型政策仕分けという中医協委員にとって“共通の敵”が現れたことで、かえって各側委員が団結した格好だ。

●仕分け結果を“聞き流す”
 意見書では、医療経済実態調査の結果について「病院の医業収支は精神科病院を除き、全般的にやや上昇」「診療所の医業収支は全般的にやや上昇」と記載。さらに、社会保障審議会の基本方針に基づき、医療従事者の負担軽減や、医療と介護の役割分担と連携、在宅医療の充実などに取り組むことで各側が一致したと記した。

 ただ、改定率の部分だけは「診療報酬全体(ネット)で引き上げを行うことは、とうてい国民の理解と納得が得られない」と主張する支払い側の意見と、「医療費全体(ネット)で底上げを行うべき」という診療側の意見を両論併記した。

 また意見書では、十分な議論が行われないまま「本体据え置き・抑制」の判定結果を出した行政刷新会議の提言型政策仕分けに対する見解も明記。まず、中医協自体が社会保険医療協議会法で組織構成や審議・答申事項を定められた法的根拠の明確な審議会であることに触れ、今後も医療の実態や保険財政状況を十分に考慮しつつ、安心・安全で質の高い医療環境を目指し、社保審の基本方針に沿って改定の具体策を検討すると決意表明した。

 逆に、法的根拠のない提言型仕分けに対しては「診療報酬本体について据え置きや抑制を求める意見があることも承知している」と記載するにとどめた。実質上、仕分けの判定結果を“聞き流した”ことになる。

 また、財務省との折衝を控える小宮山厚労相に対しては「これまでの中医協の議論を踏まえ、改定率の設定に関し、適切な対応を求める」とクギを刺した。(12/8MEDIFAXより)

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