改定版 医療安全対策の常識と工夫(30)  PDF

改定版 医療安全対策の常識と工夫(30)

受付での対応の心がけ

 電話や文書等を除けば、患者さんがクレームを付けに来るときは、医療担当者に直接の場合と、窓口等で事務職員に対しての場合とに大きく分けられるでしょう。

 窓口には医師が居ませんので、当然ながら事務職員等が対応することになります。医療行為とその結果についてはもちろんのこと、従事者の態度や言葉遣い、薬剤、医療費、設備、給食等々、数えれば切りがありません。窓口の方にしてみれば、対応しかねる苦情も多分に経験されていると思います。それでも、決して「そんなことを私に言われても…」といった発言や態度は慎むように心がけて下さい。意外と思われるかも知れませんが、患者さんの中には窓口も免許を持った資格者で、専門家が対応しているものと思い込んでいる方もいます。曖昧な対応は患者さんの怒りを増長させるだけとなりかねません。

 患者さんの苦情は一般的に言って、冗長で要領を得ないものです。その場合は前回に述べた通り場所を変えます。そこで苦情を聞きながら、医療・医学の問題なのか、それ以外の問題なのか、自分の頭の中で整理します。前者ならば、場合に応じて医師を呼ぶことが必要です。決して医師以外の者が独りで判断して発言しないことが賢明です。医療・医学以外の場合ならば、事務職員等で対応できることか無理なことか判断します。無理ならば、何故、無理なのか患者さんに伝える必要もあるので、その理由付けは明確にさせた方がよいでしょう。以上のことは簡単なことではないのですが、少なくとも思考・行動パターンを確立しておけば、平常心を保ちやすいと思われます。具体的に何が起こるかは次の問題として、起こったときの心構えと対応策が必要なのです。

 次回は医師にありがちな患者対応の失敗例をご紹介します。

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