改定版 医療安全対策の常識と工夫(4)
証拠保全申立て!慌てないで、恐るに足らず
稀に会員さんから「患者さんに訴えられた! どうしましょう」と、京都府保険医協会に電話が掛かってくることがあります。事情を詳しく聞くと、証拠保全申立書が配送されてきたとのこと。証拠保全とはカルテ等の開示を要求されたに過ぎないもので、決して訴えられたものではありませんし、マスコミが来ることも、まずないと考えて差し支えないでしょう。もちろん、その後に調停や訴訟を申し立てられる可能性を全面的に否定することはできませんが、医療機関の医療内容に問題がなく、またカルテの記載も医療内容に反映したものであれば、問題は大きくならないでしょう。
証拠保全申立書が送付されたら、その日の内に裁判所関係の職員、もしくは患者側弁護士や、場合によっては患者本人も同行して来院することもあります。先に述べたように、医療機関側としては毅然とした態度を取るべきでしょう。患者側弁護士から何か質問された場合には、医師として医学的見解を述べるに止め、推測や憶測などによる返答は避けて下さい。相手側が希望する以外の情報を与える必要も全くありません。基本的には言われたことのみに協力すれば充分でしょう。
次回は、「調停」と「訴訟」の違いについてお話しします。