支払機関「統合ありき」に懸念も/厚労省、見直し議論スタート  PDF

支払機関「統合ありき」に懸念も/厚労省、見直し議論スタート

 2009年秋の行政刷新会議による事業仕分けで社会保険診療報酬支払基金と国保連合会の統合が指摘されたことなどを受けて、厚生労働省が立ち上げた「審査支払機関の在り方に関する検討会」(座長=森田朗・東京大大学院教授)の初会合が4月8日、開かれた。委員が自由に意見を述べたこの日の議論では、両者の統合を前提とした議論に慎重さを求める意見が相次いだ。

 遠藤秀樹委員(日本歯科医師会社会保険委員会委員)は「医師の裁量権が審査の中で生かされなければ医療が歪んでしまう。統合が目的ではなく、適切な医療を提供するための審査機関の在り方を考えた上で統合を考えるべき」と主張。高橋直人委員(全国健康保険協会理事)も「統合ありきという議論が始まるのでは乗れない。審査の在り方としていろいろな議論の上で、最終形としてどのようにするのかという議論だ」と訴えた。村岡晃委員(高知市保険医療課長)も「審査基準の統一は非常に重要な課題で、統合よりも先に議論すべきだ」と述べた。

●「審査の視点は1つにすべき」齊藤氏

 一方、齊藤寿一委員(社会保険中央総合病院名誉院長)は「レセプト審査の段階でダブルスタンダードがあるのは理解しにくい。少なくとも審査は1つの視点でやるべきだ」と主張した上で、「統合に向けて何が障壁かを答えるのが検討会の役割ではない
か」と述べた。

 これに対し、事務局を務める厚労省保険局保険課の吉田学課長は「行政刷新会議の統合という見直しの方向は、正面から受け止めなければならない。組織の問題なのか、業務の問題なのか。どの部分を統合し、どの部分を競争させることによって効率を上げ、質を高めるのか。丁寧に議論する必要がある」と説明した。

 2009年秋の行政刷新会議のワーキンググループによる「事業仕分け」では、レセプト審査に関する支払基金と国保連について「統合」と判定した。また、08年12月に規制改革会議が決定した「規制改革推進のための第3次答申」では、保険者によるレセプトの直接審査実施に向けた環境整備の必要性を盛り込んでいる。

 検討会は4月22日に次回会合を開催した後、年末までに月1回のペースで開催し、「議論を一巡させたい」(保険課)としている。(4/9MEDIFAXより)

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