携帯で発がん、確認できず/WHO機関が大規模調査  PDF

携帯で発がん、確認できず/WHO機関が大規模調査

 携帯電話が発する電磁波が脳腫瘍などのがんを引き起こす恐れについて、世界保健機関(WHO)の専門組織である国際がん研究機関(本部フランス・リヨン)は5月16日までに「携帯電話の使用が脳腫瘍の発生の危険を増やすとは認められない」とする、過去最大規模の国際調査の結果をまとめた。近く医学専門誌に掲載される。

 調査は日米欧など世界13カ国で脳腫瘍の患者と健康な人、計約1万3000人と面談。携帯電話の使用頻度や使用期間ごとに細かく分類し、患者と健康な人の人数が各層でどう違うか調べた。

 その結果、使用を「日常的」とした人や「10年以上」とした人の割合は、患者よりも健康な人の方がむしろ多く、携帯使用と脳腫瘍の間に関係はみられなかった。

 ただ、細分化したグループのうち、もっとも累積使用時間が長い「1640時間以上」使った人の割合が、神経膠腫患者で健常者の1.4倍という極めて高い数字を示すなど、一部の層に携帯使用と腫瘍の因果関係を示唆する結果も出た。しかし、同機関はこうした数字はいずれも「統計の偏りや誤差による限界があり、因果関係があるとは解釈できない」と結論づけた。

 一方、同機関幹部は「携帯電話の使用パターンは時代とともに変化しており、さらに調査を進めるべきだ」としている。【ジュネーブ共同】(5/18MEDIFAXより)

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