控除対象外消費税で共同行動へ/日医と病院団体  PDF

控除対象外消費税で共同行動へ/日医と病院団体

 日本医師会と四病院団体協議会を中心とする病院団体は、医療機関の経営を圧迫している控除対象外消費税の問題解決に向けて、共同で活動していくことで合意した。日医の今村聡常任理事は7月9日、メディファクスの取材に「社会保険診療が非課税になっていることで、消費税は医療機関に不合理な税負担をもたらしている。病院団体と共に解決に向けて取り組みたい」と述べた。

 今村常任理事は、当面の要望事項として「社会保険診療は、現行の非課税から課税取引に変更させる。その上で、患者が医療を受けることで発生する消費税の負担軽減策を求めることになるだろう」と述べた。患者の負担については「ゼロ税率にするのか、軽減税率か、給付付き税額控除にするのか、その方法論については、政府に検討してもらいたい」とした。政府が税制改正の抜本的見直しの論議に入ったところで、要望書の提出など具体的な活動を展開する予定だ。

●改定率に1.53%上乗せでも不十分

 控除対象外消費税の問題をめぐっては、これまで「診療報酬で補填する」との考え方で決着してきた。1989年の3%の消費税導入時には診療報酬改定で0.76%が、税率が5%にアップした97年の診療報酬改定では0.77%が上乗せされ、合計で1.53%が上乗せされているとされてきた。ただ、医療関係者の間では、その後のマイナス改定で上乗せ分があいまいになっているとの認識が強い。今村常任理事は「仮に1.53%の上乗せがあったとしても、医療機関では不十分とのデータが集積されている」と指摘する。

 日医が2005年に実施した調査では、社会保険診療収入に占める控除対象外消費税の割合が病院・診療所ともに2%を上回っていた。設立母体別に見ると、私立医科大学病院で2.7%、自治体病院で2.8%、医師会病院で2.2%だった。その後の06年と07年の調査でも、病院、無床診療所、有床診療所ともに約2%となっている。

 神奈川県の済生会横浜市東部病院によると、同院の社会保険診療収入は167億円、控除対象外消費税は4億円で社会保険診療収入の2.3%を占める。消費税が10%になると控除対象外消費税は8億円に倍増する計算だ。同院関係者は「早急に、医療界として要望行動を起こしてもらいたい。病院経営に対して深刻な問題だ」と指摘している。

 病院団体関係者によると、控除対象外消費税に関しては日医と足並みをそろえるものの、個別の税制改正事項の要望については各病院団体が独自に取り組むとしている。(7/12MEDIFAXより)

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