指導員による雇用管理の実態把握へ/パートタイム労働法に基づき実施  PDF

指導員による雇用管理の実態把握へ

パートタイム労働法に基づき実施

 2008年4月から改正されている「パートタイム労働法」に基づいて、各事業所の雇用管理の実態を把握し、パートタイム労働者の雇用管理改善についてのアドバイスを行うとともに、法に反する事項を把握した場合は是正指導を行うことを目的とした指導が京都労働局の指導員により医療機関にも実施されている。

 法律の改正点を中心に、パートタイム労働法の周知のためにパートタイム職員の多い事業所に対して順次指導を行っている。

 事業主の義務規定となっている、第6条の労働条件に関する文書の交付等、第10条の教育訓練、第12条の通常の労働者への転換について法律が順守されていない場合は改善が求められる。

 第6条は、事業主に対して、パートタイム労働者を雇い入れたときは、速やかに「昇給の有無」「退職手当の有無」「賞与の有無」を文書の交付などにより明示しなければならないとしている。労働条件通知書にこの3点が抜けていると「十万円以下の過料に処する」と罰則が定められているので注意が必要。

 第10条は、事業主に対して、通常の労働者に対して実施する教育訓練で、通常の労働者が従事する職務の遂行に必要な能力を付与するためのものについては、職務内容が同じであれば、すでにその職務に必要な能力を有している場合を除き、パートタイム労働者に対しても実施しなければならないとしている。

 第12条は、特に力を入れて指導している項目で、パートタイム労働者が通常の労働者に転換できる措置を求めている。たとえば通常の労働者を募集する場合、その募集内容をすでに雇っているパートタイム労働者に周知することや、通常の労働者のポストを社内公募する場合、すでに雇っているパートタイム労働者にも応募する機会を与えるなどの措置を求めている。

 その他、努力規定として以下の内容についても指導が行われる。

 第7条の就業規則の作成の手続きとして、パートタイム労働者に適用する就業規則を作成・変更するときは、パートタイム労働者の過半数を代表すると認められるものの意見を聴くように努めること。第9条の賃金の決定方法では、通常の労働者との均衡を考慮しつつ、その雇用するパートタイム労働者の職務の内容、成果、能力または経験などを勘案し、その賃金を決定するよう努めること。第15条の短時間雇用管理者の選任では、常時10人以上のパートタイム労働者を雇用する事業所ごとに、短時間雇用管理者を選任するように努めるよう求めている。

 また第8条では差別的取り扱いの禁止として、事業主に、通常の労働者と就業の実態が同じと判断されるパートタイム労働者は、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他のすべての待遇について、パートタイム労働者である事を理由に差別的に取り扱うことを禁止している。

 会員各位におかれては、今一度、自院の雇用管理について法令遵守ができているか見直すことをお勧めする。なお、その際には、月刊保団連『医院経営と雇用管理』(2010年10月21日発行)を参照いただきたい。

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