指導・監査で厚労省に要請
保団連は、3月4日、厚生労働省に対し、「個別指導等に関する緊急改善を求める要請」を行った。保団連からは、宇佐美宏歯科代表、田辺隆歯科社保部長、杉山正隆理事、小山栄三、吉田裕志各大阪歯科保険医協会役員、事務局6人の合計11人が出席した。また、要請の仲介をした小池晃参院議員(共産)も同席した。厚労省からは、医療課課長補佐、医療指導監査室・特別医療指導監査官、医療指導監査官ら5人が対応した。
208年10月から指導監査等に関する業務が地方厚生(支)局に移管された。保団連では、08年9月に移管に伴っての具体的取り扱いを質すとともに、改善要望を提出した。その際には、当面これまでの取り扱いと変わらないとの回答であったにもかかわらず、その後に各地から寄せられた移管後の指導に関する取り扱い状況では、指導大綱の「懇切丁寧に行う」との趣旨からもかけ離れた問題が起きていることが分かった。
今回の緊急要請では、(1)個別指導等で対象レセ患者名が前日連絡となっていることに対し、その根拠となっている厚労省の通知を従前に戻すこと、(2)個別指導等の実施通知の「正当な理由なく欠席されたときは、監査を実施する場合もある」等との記述は、行政手続法第34条に抵触するものであり改善すること、(3)指導時の録音は保障するなどの措置を講ずること、(4)指導監査室先行で既成事実化した疑義解釈通知発出は改めること―以上4点を厚労省に申し入れた。
(1)について、厚労省は実態に合わせただけなどと回答。これに対し小池議員は「従来の通知では『指導の実効性を損なわない範囲』で『実施日の概ね1週間から10日前』に通知するとの考え方が示されていた。その考え方が変わったのかどうかの説明がない。単に『現状に合わせた』では説明になっていない」と納得のいく説明をするよう求めた。厚労省から明確な説明がなされず、改めて議員に回答することになった。また、持参物について、保団連側から、新規個別指導で台車1台分になっていることに対し、新規個別指導に共同指導なみの持参物を要求することがそもそもおかしく、短時間の指導の中で活用されないものがほとんどで、嫌がらせに近くやめるべきとだと追及した。これに対し厚労省側は「新規と長年やってこられた先生の個別指導はおのずと違って当然だと考えている」と述べ、新規については再検討の余地ありとの意向を示した。
(2)については、厚労省は、指導大綱・監査要綱に「正当な理由なく欠席したとき」の措置について明記しているため、このような記載をしていると回答。欠席した場合の措置をあらかじめ明記せずにその後の措置を行うことはできないとの発言もあった。しかし、社会通念上、初回から「脅し」のような通知を行うことは認められないとの指摘に、厚労省側は1回目の通知からこのような表現は「不適切」であることを認め「初回は止める」と回答した。
(3)について、07年、東京の歯科保険医が監査を前に自殺するという痛ましい事件に際し、保団連が厚労省への緊急要請を行った際に、対応した田中智也医療指導監査室長補佐(当時)が、「国民の権利を守る弁護士の同席はやむを得ない」「録音も拒否しない」と述べ、指導時における弁護士の帯同、録音を認めるとの回答(2007年11月22日)をしたことを指摘。厚労省側は、これについては地方厚生(支)局への移管以降、周知が図られていなかった点があるかもしれないと認め、行政側から否定するような言動をしないことを周知する、また、事前通知も求めないと回答した。
(4)の義解釈資料の発出については、各地方厚生(支)局、各支払機関や個々の指導医療官によって算定ルールに差異があってはならないので、誤解や不明確なものについては全国的に周知徹底をはかる意味で発出したとの回答。歯科保険医療機関への周知については、全国的な取り扱い方、考え方など混乱しているものを整理し、とりまとめ、できるだけ早急に周知するよう努力したいとの回答を得た。
最後に、近畿厚生局が協会の懇談申し入れに対し、誠実な対応をしていないことに本庁として対応するように求めた。