持ち分なしへ「意向なし」が61.7%/四病協アンケート  PDF

持ち分なしへ「意向なし」が61.7%/四病協アンケート

 四病院団体協議会はこのほど、「医療法人の現状と課題に関するアンケート」の調査報告書を取りまとめた。報告によると、持ち分のある社団のうち持ち分なし社団への移行について「意向あり」が33.8%、「意向なし」が61.7%となり、意向なしが大幅に上回った。移行しない理由については「出資持ち分はオーナーシップの源泉であり、放棄できない」が36.5%で最も多く、「相続税を支払っても、医療法人を子孫に承継させたい」が32.3%、「同族経営を維持したい」が31.0%と続いた。

 持ち分あり社団の平均出資者数は4.7人、平均同族割合は86.2%となった。社員の退社時などに持ち分の払い戻し請求を受けたことのある法人は12.9%にとどまった。その31.6%が借入金で支払っているほか、法人資産を処分して支払うケースもあった。

 持ち分あり社団として、将来的に相続が発生した場合の対応としては「払い戻しのために借入金や資産を処分せざるを得ない」が46.2%、「問題なく払い戻しできる」が31.6%となった。持ち分あり社団として継続するのに必要な支援については、「持ち分あり類型の永続的な存続の法的保障」が60.0%、「中小企業の事業承継税制並みの相続税負担軽減」が57.1%となった。

 一方、持ち分なし社団へ移行する理由としては「安定経営」が90.4%、「非営利性の徹底」が51.8%となった。移行に当たっての課題としては「移行に伴う法人への贈与税課税」が60.6%、「出資者が死亡した場合の相続税への対応」が43.4%で、移行に必要な支援として「持ち分なしへの移行を条件に相続税を猶予・免除する税制優遇制度」が79.5%、「諸規定の整備・手続きなどへのアドバイスを受けられる制度」が37.8%だった。

 厚生労働省は2010年度と11年度の税制改正に向けた要望で、医療法人に関する相続税の納税猶予制度の創設を要望している。仮に制度が創設された場合、「将来的に持ち分なし社団への移行を検討」が44.6%、「すでに移行を考えているが安心して移行できる」が25.2%、「持ち分なし社団への移行を具体的に検討したい」が22.1%となった。

 アンケートは06年の医療法人制度改革フォローアップのため、全国の病院を経営する医療法人4888法人を対象に実施し、1058法人から回答を得た。有効回答率は21.6%となった。(5/10MEDIFAXより)

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