抜本改正へ「ファクトシート」活用/厚労省・予防接種部会  PDF

抜本改正へ「ファクトシート」活用/厚労省・予防接種部会

 厚生労働省の厚生科学審議会・感染症分科会予防接種部会(部会長=加藤達夫・独立行政法人国立成育医療研究センター理事長)は4月21日、予防接種法の抜本改正に向けて議論を始めた。厚労省側は、今後の議論に使用する情報収集や整理のため「ファクトシート」の活用を提案。対象疾患については、インフルエンザ菌b型(Hib)や肺炎球菌、ヒトパピローマウィルス(HPV)などによる感染症を挙げた。

 ファクトシートは米国ACIP(ワクチン接種に関する諮問委員会)で、対象疾患やワクチンの情報を整理するために利用されている。▽対象疾患の基本的な知見(疾患の特性、疫学状況)▽予防接種の目的、期待される効果▽ワクチン製剤の現状と安全性―などの項目ごとに既存の情報を収集できる。委員からは、シートの項目について「ワクチンを接種する際の対象の適用についても調査項目に挙げてほしい」との意見があった。ファクトシートは国立感染症研究所を中心に、5月末をめどにまとめる。

●国にワクチンビジョンない/神谷氏
 部会では「ワクチンの研究開発の促進と生産基盤の確保」をテーマに有識者からのヒアリングを行った。

 国立病院機構三重病院の神谷齊名誉院長は、21世紀の医療は予防を目指しているとした上で、ワクチンは予防医学の中核にあると位置付けた。さらに、日本の「ワクチンギャップ」について「厚生行政に10年先を見据えたワクチンビジョンがなく、国の感染症対策の中でワクチンが軽視された」と指摘した上で、「ワクチン接種率の低さや、開発・臨床応用に充てる資金不足などが解決されれば、ワクチンの臨床的研究開発は進む」と述べた。

 このほかの有識者からは、ワクチンの研究開発や生産基盤の確保について「国の戦略的な関与が必要」との意見が出た。

●予防接種推進専門協が要望書
 日本ウイルス学会や日本ワクチン学会、日本感染症学会など予防接種関連9学会で組織する予防接種推進専門協議会は4月19日付で、長妻昭厚生労働相に対し、予防接種は国策で実施すべきもので、ワクチンの接種で予防が可能な疾患については原則ワクチンで防ぐべきとする要望書を提出した。4月21日の予防接種部会のヒアリングに出席した同協議会委員長の神谷氏が明らかにした。(4/22MEDIFAXより)

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