抗うつ薬で暴力など42件/厚労省が因果関係調査
抗うつ薬の「パキシル」など4種類のSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)を服用した患者に、他人に暴力をふるうなど攻撃性が高まる症状が表れたとの報告が204年から08年秋までに計42 件、医薬品医療機器総合機構に寄せられ、厚生労働省は3月7日までに、因果関係の調査を始めた。
メーカー側に見解を求めるとともに近く専門家の意見も聞き、攻撃性についての注意書きを盛り込む方向で、添付文書の改訂を指示することを検討する。
厚労省によると、報告があったのはパキシル、ルボックス、デプロメール、ジェイゾロフトの4社4製品。42件のうち「人を殺したくなった」など他人を傷つける恐れのある言動をしたり、実際に暴力をふるったりした症例が19件。残る23件も、興奮して落ち着きがなくなるなどの症状が表れたという。
因果関係は不明だが、うつ病を併発した認知症の70代の男性がパキシル服用後に妻を殺害するなど、刑事事件に発展したケースもあった。
SSRIは、脳内の神経伝達物質セロトニンの濃度を調節して神経の活動を高める薬。三環系と呼ばれる従来の抗うつ薬よりも副作用が少なく、うつ病治療に広く使われており、国内でも推定で100万人以上が使用しているとみられる。
厚労省は「うつ病以外の患者にも使われていなかったかなど慎重に調べたい」としている。【共同】(3/10MEDIFAXより)