所得再分配効果、過去最大に/厚労省の08年調査
厚生労働省は9月1日、2008年の所得再分配調査結果を発表した。税や社会保障給付などによる所得再分配後の世帯間の所得格差は、再分配前と比べて29.3%改善しており、過去最高の改善度だった。
調査はおおむね3年に1回の周期で実施しており、08年は7月10日から1カ月の間に、07年1−12月の状況を調査した。世帯間の所得格差を「ジニ係数」と呼ばれる指標で表しており、ジニ係数がゼロに近いほど所得格差が小さく、1に近いほど所得格差が大きいことを示す。
世帯単位で見たジニ係数は、雇用者所得や財産所得などを合計した「当初所得」が0.5318、「当初所得」から税金と社会保険料を控除し、社会保障給付を加えた「再分配所得」が0.3758で、所得再分配による格差の改善度は29.3%だった。所得再分配の要因別に見ると、社会保障による改善度は26.6%、税による改善度は3.7%だった。
ジニ係数の推移を見ると、「当初所得」は1999年調査時点で0.4720、02年調査時点で0.4983、05年調査時点で0.5263で、厚労省は「高齢者世帯などの増加により年々、大きくなっている」と説明。一方「再分配所得」は99年調査時点で0.3814、02年調査時点で0.3812、05年調査時点で0.3873で「99年調査以降、0.38前後で推移しており、社会保障制度などが所得再分配に大きく寄与していることが見て取れる」としている。
●再分配所得は1世帯当たり517.9万円
1世帯当たりの平均当初所得は年額445.1万円で、当初所得から税金(49.7万円)と社会保険料(50.8万円)を差し引き、社会保障給付(173.3万円)を加えた「再分配所得」は年額517.9万円だった。(9/2MEDIFAXより)