意見集約に至らず 第6回医療事故調検討会  PDF

意見集約に至らず 第6回医療事故調検討会

 厚生労働省は、2月25日「第6回医療事故調査制度の施行に係る検討会」を開催した。検討項目は、(1)医療機関が行う医療事故調査(2)センターが行う調査(3)医療事故の定義(4医療事故発生時の報告について—の4点で、今検討会で取りまとめを目指したが、複数の項目で意見集約に至らなかった。このことから、同制度の運用に関する省令公示や通知発出が当初予定よりも遅れる見込みだ。
 最大の争点は、(1)に関連した「医療機関が行った調査の遺族への説明方法」で、センターに提出する院内事故調査結果の報告書につき、希望する遺族には交付に努める旨の書きぶりにするかどうかについて意見が対立した。一方、院内事故調査等の報告書に再発防止を記載することについては概ね了承が得られた。
 合意に至らなかった次の論点については、10月に制度開始が迫っていることから、(1)出された意見をふまえた修正案を各構成員に示す(2)修正案について了承が得られない場合は早めに再度検討会を開催する(3)開催する場合も最終的に取りまとめに到らない項目は両論併記とせざるを得ない—との方向性が確認された。
 検討会再開の提案にほとんどの構成員は否定的な意見で、座長への一任に決まりかけたが、白紙委任は難しいとの意見もあり、結果としてそのような方向になった。また検討会再開となっても、日程調整の上、参加できる構成員は少なくなる可能性が高い。

合意されなかった主な論点

(1) 院内調査の報告書の交付を遺族が希望した場合の取扱
(2) 院内調査の方法における匿名性の確保の問題
 ⇒調査開始の段階から、調査資料等の匿名化を確保すべきとの意見
(3) 院内調査における医療従事者への教示の問題
 ⇒報告書が、センターへの提出や遺族への説明という目的以外の用途に使用される可能性があることを教示することが適当であるとした上で、教示事項として刑事訴訟等への利用などの具体例を記載すべきかどうか
(4) 報告書に医療従事者の意見が記載された場合に、当該医療従事者からの訂正要求に関する問題
 ⇒医療従事者が述べた意見と異なる内容であった場合、訂正を求める権利があることを明示すべきかどうか
(5) センター調査報告書の一部として、提出されている院内の報告書も交付するものであるかどうか
 ⇒センター調査は主に院内調査結果の検証であるため、検証のもととなる院内の報告書も合わせて交付されるべき、との意見に対し、院内の報告書をふまえてセンターの責任で報告書をまとめるため、交付は不要との意見
(6) センター調査結果の取り扱いについて「法的義務のない開示請求に応じない」との記載について、厚労省の権限として認められるかどうか
 ⇒他の所管省庁で判断されるべき事項。様々な解釈を生みかねず有害
(7) 予期しなかった死亡等の定義のうち、第三号省令案(管理者が担当医らから事情を聴くなどして当該死亡が予期されていたと認定した場合)について、通知で救急の場合など何らかの例示を示すかどうか

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