患者からADR申し入れ、病院の約5%/日病協調査  PDF

患者からADR申し入れ、病院の約5%/日病協調査

 日本病院団体協議会は2月25日、代表者会議後の会見で、日病協加盟の病院を対象に実施した裁判外紛争解決(ADR)に関する現状調査の概要を公表した。約5%の病院が、患者側からADRの申し入れを受けていた。邉見公雄議長(全国自治体病院協議会長)は「今回の調査結果を踏まえて日病協として(見解などを)まとめることはしない。今後、関連事例を重ねていく」と述べた。

 調査結果は、小山信彌氏(日本私立医科大学協会病院部会担当理事)が、今後の厚生労働省のADR機関連絡調整会議で報告する予定だ。

 調査は2009年4月−10年3月に、1000病院を対象に実施。400病院が回答した(回答率40%)。400病院のうちADRの申し入れを受けたのは20病院だった。20病院で24件の申し入れを受けていた。病院が正式に受理したのは24件のうち13件で、手術中の合併症や手術の手技に関することなどだった。残りの11件については受け入れておらず、理由は「インフォームドコンセントを十分に行っているのに一方的な主張を展開している」「不当に高額な要求をされている」などだった。

 また、「裁判を優先して解決を図るとの考えから、ADRは認められない」「ADRを安易に活用する患者・家族が増える可能性を危惧する」との意見があった一方で、「医事紛争の早期解決につながった」との建設的な意見もあった。

 邉見議長は「ADRだけで死因究明制度を論じるのではなく、基本となる医療事故調査委員会や死亡時画像診断(Ai)と一緒に議論していくことが必要ではないか」と述べ、日病協として一定の取りまとめをする段階にないとした。(2/28MEDIFAXより)

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