必要な医師数、現員の1.14倍/厚労省の実態調査
厚生労働省は9月29日、地域別、診療科別の必要医師数の実態を把握するため初めて行った「必要医師数実態調査」の概況を公表した。現在、求人している医師数は約1万8000人。調査時点では求人していないが、医療機関が必要と考えている医師数を含めると約2万4000人となった。
調査は全国の病院と分娩取り扱い診療所1万262施設(病院8683施設、分娩取り扱い診療所1579施設)が対象。回収率は病院が88.5%、分娩取り扱い診療所が64.0%で、計84.8%だった。
現員の医師数は16万7063人。現在、求人している医師数1万8288人を加えると現員の医師数の1.11倍。求人していないが必要な医師の数を含めた「必要医師数」の2万4033人を加えた場合は現員の1.14倍だった。現員医師数は正規雇用が13万2937人、短時間正規雇用が3532人、非常勤が3万594人だった。初期臨床研修医は含めなかった。/p
求人理由では「入院、外来患者数が多い」(27.8%)、「退職医師の補充」(17.5%)、「日直・宿直が多い」(16.2%)、「救急医療への対応」(14.1%)などが挙がった。
求人しているが医師が確保できない理由を聞いた質問では「求人中の診療科の医師が県内(地域内)で少ない」(38.0%)、「大学の医師派遣機能が低下している」(19.9%)、「勤務条件と医師の希望との不一致」(14.0%)などの回答が寄せられた。
求人していないが必要な医師数について、求人していない理由を聞いた質問では「具体的な求人計画は今後検討」が47.5%と最も多かったが、「求人しても確保が見込めない」との回答も30.4%に上り、地域での求人の難しさを訴える声もあった。
「必要医師数と現員医師数を合計した数」が現員医師数の何倍に当たるか都道府県別に見ると、最も高かったのは岩手で1.40倍、次いで青森1.32倍、山梨1.29倍となった。一方、最も低かったのは東京で1.08倍、次いで大阪が1.09倍、埼玉と神奈川が1.10倍で、都市部と地方で差が見られた。同様に診療科別の倍率で高かったのはリハビリテーション科が最も高い1.29倍、次いで救急科1.28倍、産科1.24倍となった。
概況を説明した医政局指導課医師確保等地域医療対策室の猿田克年室長は「必要医師数が多いか少ないかのコメントは差し控えたい」と述べた。厚労省は今後、病床規模別の必要医師数や人口10万人当たりの必要医師数など詳細な結果について、年内を目安にまとめる予定。
●日医調査でも1.1倍
日本医師会は2008年2010月、都道府県医師会と病院を対象に「医師確保のための実態調査」を行っており、同調査でも「地域別の最低必要な医師数」に対する病院の回答は、全国平均で1.1倍だった。(9/30MEDIFAXより)