復興計画策定に向けた議論終了/福島県復興計画検討委
福島県は11月25日、東日本大震災後の復興を目指す「福島県復興計画(第1次)」の素案を福島県復興計画検討委員会(会長=鈴木浩・福島大名誉教授)に提示した。素案には前回の同委員会に示した「たたき台」に対する意見を取り入れた。重点プロジェクトの「県民の心身の健康を守るプロジェクト」に盛り込む「放射線健康障害の早期診断・最先端治療拠点の整備」については、研究者のネットワーク構築などを通じて関連する研究拠点の連携を図ることを記載し、福島県立医科大での放射線医学研究だけにとどまらず、より実践的で広範囲な運用を目指す方針を打ち出した。
同県は8月11日に策定した「福島県復興ビジョン」を踏まえ、年内までに「福島県復興計画(第1次)」を策定する。復興計画(第1次)には復興ビジョンに盛り込んだ7つの主要施策に基づき「具体的取り組みと主要事業」を記載する。
主要事業には「看護師を目指す人材の育成を支援する事業」も盛り込む。地域医療の担い手として、医師だけでなく看護師の人材育成も支援する。
「がん検診を受診しやすい環境整備に関する事業」にも取り組む。がん検診の受診率向上につなげるため、実施主体の市町村を対象に支援事業を実施するほか、地域や医療機関にかかわらず受診できる仕組みを構築する。がん検診の費用負担軽減の支援も国に要請する。同県では原子力災害からの地域再生を目指して「福島再生特別法(仮称)」の制定を国に求めており、健康被害が発生した場合の保健・医療・福祉に関わる総合的な援護措置を同法に盛り込むことも想定する。
「放射線に関する相談外来の設置、がん医療に係る診断機器や治療機器等の整備の支援」も主要事業に位置付ける。財源には地域医療再生基金を見込んでいる。
計画策定に向けた提言を行う目的で設置された同委員会の議論はこの日で終了し、鈴木会長が11月末までに佐藤雄平知事に意見書を提出する予定。同県は素案についてパブリックコメントを求め、復興計画(第1次)案を策定する。その後、案を県議会に説明し、最終的に決定する。
同委員会に出席した佐藤知事は冒頭の挨拶で「第3次補正予算が成立するなど、国の動きも進んできたが、原子力災害に関しては今も課題山積の状況」と指摘し、「次代を担う子どもたちを安心して福島で生み、育てる環境づくり」を最大の課題に挙げた。その上で「昨日、首相官邸で18歳以下の医療費無料化などを要望した」と述べた。また、同県は復興を通じ、さらなる飛躍を目指す考えを強調。復興計画策定後、「国、市町村と一体となって、その着実な実行に取り組まなければならない」との考えを示した。(11/28MEDIFAXより)