後発品に躊躇、理由は「品質」/中医協・改定結果検証調査  PDF

後発品に躊躇、理由は「品質」/中医協・改定結果検証調査

 厚生労働省は12月8日の中医協・診療報酬改定結果検証部会(部会長=牛丸聡・早稲田大政治経済学術院教授)に、2010年度診療報酬改定に関する後発医薬品使用状況の特別調査結果の速報を示した。医師を対象にした調査では、処方箋の「後発品への変更不可」欄に署名した理由として、後発品の品質に対する不安などが上位に入った。

 外来患者への後発品の処方が「多くなった」と答えた医師は、病院・診療所とも半数余りに上った。処方せんの「変更不可」欄に署名した経験のある医師は、病院・診療所とも約3割。署名した理由(複数回答)で最も多かったのは「後発品の品質が不安」(病院38.0%、診療所41.8%)だった。このほか「患者からの強い要望」(病院32.5%、診療所30.1%)、「先発品を長く使用し信頼している」(病院28.7%、診療所28.8%)などが上位だった。

 入院患者に対して後発品を「積極的に使用している」と回答した医療機関は病院45.1%、診療所22.1%。後発品使用によって病院の24.0%、診療所の4.4%が「問題が生じたことがある」と回答。具体的に生じた問題(複数回答)は「供給体制上の問題」(50.7%)が最多で、前回調査より12.4ポイント増えていた。

 後発医薬品の採用品目数が全採用医薬品の20%以上を占めるなど、後発品の使用促進に取り組む医療機関を評価するため10年度改定で創設された「後発医薬品使用体制加算」を算定している病院は20.6%だった。

 患者を対象にした調査では、34.6%が後発品の処方を受けたことがあると回答。後発品の処方を医師に依頼した経験のある患者は16.5%にとどまった。後発品に対する認知状況は73.9%が「知っている」としたが、加入する保険別では健保組合、協会けんぽで8割を超える一方、後期高齢者医療広域連合では55.8%にとどまった。

 病院1500施設と勤務する医師各施設2人、診療所2000施設と保険薬局に来局した患者各施設4人に調査票を送った。施設の有効回答率は病院38.3%、診療所33.1%だった。

●後発品シェア、頭打ちの傾向
 保険薬局調査では、後発医薬品調剤率を数量ベースで見た場合、10年4月が22.3%だったのに対し、8月は22.8%と微増にとどまった。厚労省は12年度までに後発品の数量ベースのシェアを30%以上にする目標を掲げているが、頭打ちの傾向が浮き彫りとなった。後発品調剤率が「20%未満」の薬局は45.2%で、半数近くを占めた。

 10年9−10月の調査で、「変更不可」欄に処方医の署名がなく後発品に変更可能な処方箋は全処方箋の67.0%だったが、このうち1品目も後発品を調剤しなかった割合は55.3%に達した。1品目も後発品を調剤しなかった理由は「患者が希望しなかったため」が最多となっている。(12/9MEDIFAXより)

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