後発医薬品への変更誘導次々と/希望カード配布、軽減額通知、指導も
後発医薬品の使用促進については、医療費削減の観点から、「2012年度までに数量シェアを30%以上」という政府目標(07年)が掲げられ、その実現に向けた攻勢的な取り組みがなされている注)。その一環として厚生労働省は1月20日、「国民健康保険における後発医薬品(ジェネリック医薬品)の普及促進について」(保国発0120001号)通知を発出。具体的な普及促進策として「ジェネリック医薬品希望カード」の被保険者への配布、長期服用者などがジェネリックを利用した場合の自己負担軽減額の通知などを、国保保険者に求めた。
市町村にアンケート
これについて協会は4月、府内の市町村国保に対し、対応についてアンケートを実施。同時に、国の進める普及策に対する協会の考え方を示して慎重な対応を求めた。
協会の考え方として示したのは大要以下の3点。(1)医師法第22条で医師に対する「処方せんの交付義務」が定められ、処方は医師の独占業務と定めている。08年診療報酬改定の処方せん様式の変更で、医師の判断により処方された医薬品が医師への照会なく変更される仕組みが、医療費削減を目的に導入されたこと自体が大きな問題。(2)後発医薬品は先発医薬品と成分や規格等が同一であっても適応病名が全く同じとは限らないことから、医師への照会なく適応病名のない医薬品に変更が行われた場合は、医療機関に対して減点が行われる。(3)後発医薬品使用が促進され、患者負担も含めた医療費軽減がされることは悪いことではないかもしれないが、それは安心・安全が保障されてはじめて許されること。
なお、日本薬剤師会は08年10月、適応に違いのある後発品への変更は処方医に疑義照会を徹底するよう通知を発出している。
アンケートには全26市町村から回答を得た。カードの配布予定については、亀岡市が「6月に配布予定」、木津川市・久御山町・宇治田原町・笠置町・和束町が「配布予定はない」とした他は、「検討中」との回答。自己負担軽減額の通知については、木津川市・舞鶴市・大山崎町・久御山町・笠置町・和束町が「実施予定はない」とした他は「検討中」などの回答である。また、「予定あり」としたところはなかった。現時点で厚労省の通知を積極的に受け止めて対応する自治体はわずかではあるが、今後も注視していきたい。
「指導」の方針示す
また、5月20日に開かれた中医協総会では、医療機関に対し「後発医薬品使用を考慮する努力義務」に関する療養担当規則を遵守させる取り組みを開始する方針が厚労省より示されている。地方厚生局による「適時調査」や「集団指導」などの機会を活用し、療養担当規則の遵守状況の確認や周知徹底を行い、必要に応じて指導も行うというもの。近く通知がされるとのことだが、医師の専門的判断よりも療養担当規則の方が優先するという国の姿勢は問題である。
(2面に関連)
注)医療保険での主な変更は、後発医薬品を含む処方の診療報酬上評価(02年)、処方せん様式の変更(06・08年)、療養担当規則への後発医薬品使用努力義務規定追加(08年)など。