後期高齢者医療制度 京都市会が廃止意見書
政令市で初、府内で6例目
議会で廃止意見書を可決した京都市
京都市会は10月3日、「平成20年9月市会定例会」の閉会本会議において、「後期高齢者医療制度の廃止を求める意見書」を賛成多数で可決した。政令指定都市で「廃止」を求める決議を可決したのは全国で初めて。
同意見書は、「国民の高齢期における医療が適切に確保され、国民が安心して安定した暮らしを営むには、すべての国民が尊重される医療制度がなければならない」とし、「後期高齢者医療制度を直ちに廃止し、喫緊の措置として従前の老人保健制度に戻すこと」を求めている。
本会議では、意見書提案趣旨を民主・都みらい市会議員団の青木芳香議員(右京)が説明した。青木議員は、後期高齢者医療制度は後期高齢者診療料、終末期相談支援料など年齢による差別医療が盛り込まれ、廃止しかない。廃止して当然の制度だと、訴えた。
これに対し、意見書に反対の立場で公明党市会議員団の平山よしかず議員(西京)が討論。後期高齢者医療制度は、高齢化と国保財政の悪化の中、国民みんなが高齢者の医療を支えあう、安心のための制度。問題点については修正していくべきだと主張した。
意見書に賛成の立場では、共産党市会議員団の佐野春枝議員(南区)が討論。佐野議員は、後期高齢者医療制度は生命と健康を守る医療制度に、差別を持ち込むもの。人の道に反する。小手先の見直しでなく、廃止しかないと訴えた。
採決では、共産党と民主・都みらいの所属議員が意見書に賛成起立。賛成が34人で反対33人を上回り、意見書が可決された。
この間、協会は後期高齢者医療制度廃止をめざしてがんばる議員を支援するトーク集会(8月28日)や、京都府後期高齢者医療広域連合議会に対する請願書提出(8月26日:否決)を通じ、地方議会においても、国政野党が後期高齢者医療制度廃止一点で共同することを求める働きかけを一貫して進めてきた。今回の京都市会にあたっても、9月12日に市会各会派に対して「意見書提出のお願い」を提出し、要請していた。
なお、これにより、「廃止を求める」意見書を可決した府内の議会は、宇治市、城陽市、向日市、木津川市、大山崎町、京都市となった。また、京田辺市では「中止・見直し」を求める意見書が可決されている。
また、本議会では、「安全で安心な医療の実現に向けた社会保障費の確保を求める意見書」(2200億円の削減方針撤廃を求めるもの)、「社会保険京都病院の存続・充実を求める意見書」も全会一致で可決された。
後期高齢者医療に関する意見書(08年10月)