後期高齢者制度見直しに異論相次ぐ/
医療保険部会で自治体関係者
後期高齢者医療制度の見直しの方向性について、12月12日の社会保障審議会・医療保険部会では、地方自治体関係者から異論が相次いだ。市町村国保を都道府県単位とした上で後期高齢者医療制度と統合することを柱とする舛添要一厚生労働相の私案に対して、都道府県知事は「財政面だけでなく運営面でも課題がある」と指摘。年金からの天引きによる保険料の特別徴収の見直しについても、必要性を疑問視する声が出た。
舛添厚労相の私案について、神田真秋委員(全国知事会社会文教常任委員長) は「現在は制度の定着と理解を進める段階。(大臣私案は) 唐突な感は否めず、地方は困惑している」と述べた。国保財政悪化の原因は低所得や高齢の被保険者が増加している点にあると指摘し、「構造的な問題がどこにあるかを根本的に議論すべきだ」と主張。「舛添私案」を基に有識者による議論が進んでいる「高齢者医療制度に関する検討会」とは別に、「都道府県と協議をする場を設けてほしい」と求めた。
これに対し、厚労省保険局総務課の神田裕二課長は「検討会での議論にある程度めどがついた段階で、(医療関係者や保険者となる自治体など) 利害関係者を含めて議論する場を設けたい」と説明した。
保険料の徴収方法として特別徴収と口座振替の選択制を導入する方針についても、山本文男委員(全国町村会長) が「運営をする上で最も大事なのは保険料の徴収率。介護保険では問題なかったのだから見直す必要はない気がする。何のためにやるのか、全く分からない」と疑問視。河内山哲朗委員(全国市長会国保対策特別委員長) も「特別徴収はコストがかからない仕組み。なぜ特別徴収にしたのかを考えてもらいたい」と選択制に反論した。
神田課長は「介護保険は1からスタートした制度だが、後期高齢者医療制度は国保から切り替えたという制度上の特殊性がある」と説明。「納付状況により市町村が口座振替への変更を認めないことも可能」と述べ、選択制の導入に理解を求めた。(12/15MEDIFAXより)