後期高齢者への資格証/原則交付しないことを再要望
「個別には思いあたらない」と広域連合
7月末日で、昨年4月に制度開始した後期高齢者医療制度における保険料が、普通徴収である被保険者の保険料納付期限から1年を経過することとなり、法令に基づき、保険証の返還命令、資格証明書交付となる高齢者が発生するおそれがある。これを受け京都府後期高齢者医療広域連合に対し、「原則資格証明書を交付しないこと」を主な項目とする要望書を提出し、広域連合から、現状を聞き取った。
広域連合側は、要望書を受け取った上で、「資格証明書については、普通徴収者が7月末日でもって、保険料の納付期限から1年経過となり、法的には8月1日から資格証交付対象者が発生することになる。しかし、今年度の証更新時には、納付期限から1年経過とならないため、その際に資格証を交付することはない。できるだけ、被保険者との接触をはかり、きめ細やかな納付相談を行い、機械的な交付をすることはない」と説明があった。
これを受け、協会側は「従来、国民健康保険の資格証明書交付について、市町村間では取り扱いが違う事実がある。そのような中で、統一的な対応がなされるとのことだが、心配がある」と伝えた。
それに対し、連合側は「(各市町村においては)特別の事情について、慎重に対応していただくことだと思う。広域連合としては、5月19日に担当課長会議を開き、6月8日には市町村に要綱をお送りしている」と述べた。
また協会から、「国の通知(要約を左掲)では、受療権侵害が起こらないよう、かなり慎重な取り扱いが求められており、現実的には資格証明書は高齢者に出されないのではと期待しているがどうか」と質した。
これに対し連合側は、「個別具体的に、被保険者の状況を見ていかないと何とも言えない。しかし、国の通知は『特別な事情』を従来に比べ、かなり広く解釈している。例えば保険料の均等割軽減適用の方や、資格証明書の交付によって医療費の負担が難しくなる方も、特別の事情に準じるということになる。そういう中では、どういうケースが資格証明書交付対象になり得るのか、個別思い当たらない」と述べた。
実際に、普通徴収の方のうち、府内で何人の保険料未払いとなっている被保険者がいるのかについては、「現状では掴めていない。しかし、厚生労働省には報告せねばならないため掴むことになる。8月末には広域連合議会もあり、その時期に明らかにすることとなるだろう」と述べた。また、国の通知において広域連合に対し、「資格証明書交付を検討している事案に関する報告」が求められていることも説明された。
今後も引き続き、この問題に注目した取り組みを進めなければならない。特に、今後注視が必要なのは、実際に保険料を徴収する市町村の対応である。保険料未納状態の人たちの生活実態をどのように把握し、どう援助していくのかが問われている。
資格証運用に係る留意点等について/厚労省通知(5月20日)からの要約
診療等の考慮 入院または継続的な通院等により診療等を受けている、または受ける予定がある被保険者は、収入、生活状況、診療等の内容を勘案し、仮に資格証明書を発行すると、医療費の全額を一時的に負担することが困難となり、必要な医療を受ける機会が損なわれる恐れがある場合には特別な事情があると認められ、交付対象外とする。
低所得者への対応 均等割軽減を受けている被保険者について、文書による催告だけでなく、電話や訪問による納付相談を行うなど、きめ細かな収納対策を講じるとともに、特別の事情の有無の判断を適切に行うことで、原則として資格証明書の交付に至らないようにする。
国への事前報告 当分の間、資格証明書の交付を検討する事案が発生した場合には、あらかじめ、その事案の状況を所定の様式にて国に報告する。