後期高齢者への資格証交付で広域連合長に要望を提出

後期高齢者への資格証交付で広域連合長に要望を提出

 協会は12月19日、京都府後期高齢者医療広域連合(連合長・四方八洲男綾部市長)に対し、「資格証明書交付に関する要望」を提出した。

 被保険者は、高齢者の医療の確保に関する法律第54条に基づき、「当該保険料の納期限から厚生労働令で定める期間(1年間:施行規則第14条)が経過するまでの間に当該保険料を納付しない場合」に、特別な事情のない限り、「後期高齢者医療広域連合」に保険証を返還せねばならないとされる。その上で、広域連合が「被保険者資格証明書」を交付することとなる。

 2009年7月には、保険料が年金から天引きされない被保険者からの普通徴収が開始されてから1年を迎えることとなり、資格証交付対象者が発生することになる。協会の実施した調査結果(2面)では、08年7月分保険料の未納者は、府内で約7%存在(08年11月〜12月時点概数)するとみられ、これらの被保険者が資格証交付対象になる可能性がある。旧老人保健制度対象者は公費負担医療対象者と同様、資格証交付の対象から除外されていた。後期高齢者医療制度が老人保健制度の目的であった、高齢者の「健康の保持」に対する国・地方自治体の責任を放棄し、医療費抑制のみを目的とした仕組みに変質させられた当然の帰結としての転換だと言える。しかし一方で、08年12月には国民健康保険法改正により、中学生以下の子ども本人は資格証交付対象から除外されることとなり、あらためてその存在が問われている。

 いずれにせよ、国民の生命と健康を預かる医療担当者は、いかなる理由があろうとも受診機会抑制の仕組みは認められない。その立場から要望書では次の3点を求めた。

 (1)被保険者に原則として資格証明書を交付しないこと、(2)保険料普通徴収者の保険料収納状況を調査し公表すること。同時に、一人一人の被保険者の世帯状況、経済状態、地域環境を把握すること、(3)一方で、いわゆる「悪質滞納者」への対応を行うことが必要と判断する場合は、現在の「京都府後期高齢者医療協議会」を活用する等、外部委員も含めた「資格証明書交付審査会」等を設置し、交付の判断を厳格化して対応すること。

 以上のうち、特に(3)については、近隣の大阪府堺市が「国民健康保険セーフティネット懇話会」を08年1月に設置している。同懇話会は民生委員、公認会計士、学識経験者等を委員として構成されており、聞き取りを行ったところ、現在は2カ月に1回の会合を開き、たとえば交付に至った状況を説明した上で、「必要ならば生活保護」につなぐ、背景に労働災害などがあれば、「会社に連絡し相談する」等、方針を決めるにあたっての意見聴取をするといった、資格証交付後の世帯に対するケア等について相談する場となっているが、将来的には事前の交付可否を検討する場として考えているという。協会は資格証交付制度の存在自体を決して肯定するものではない。しかし、どうしても交付する必要があると保険者が判断するのならば、最低限、誰もが納得する手続きを経て、それは行われるべきだと考えることから、今回の要望となった。

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