後期高齢者の受診抑制を懸念/日医レセプト調査で中川常任理事
日本医師会の中川俊男常任理事は8月6日の定例会見で、2008年度診療報酬改定の緊急レセプト調査(4−6月分) の結果、後期高齢者の総点数、総件数、総日数がすべて前年同期比でマイナスになったと説明し、「後期高齢者の受診抑制が懸念される。後期高齢者医療制度の在り方について、再提案を行っていきたい」と述べた。
総点数の前年同期比は全体で0.31%減、診療所1.85%減、病院0.68%増。後期高齢者では診療所、病院ともにマイナスで、診療所では入院が1.72%減、入院外が3.25%減、病院では入院が0.36%減、入院外が2.53%減だった。
総件数は0.34%減(診療所0.31%減、病院0.41%減)。後期高齢者は診療所、病院ともにマイナスで、とりわけ診療所の入院が4.18%減と大きく低下した。総日数は2.45%減(診療所2.65%減、病院2.12%減)となり、後期高齢者はいずれもマイナスだった。
中川常任理事は、後期高齢者の総件数と総日数の減少について「受診抑制も示唆している」と指摘。診療所入院の総件数4.18%減については「診療所の療養病床数が1年間で8.3%減少したことが背景に挙げられる。後期高齢者が身近で入院できる医療機関を失いつつある」と分析した。
また、総点数が0.31%減となったことについては「厚生労働省は『制度改正がない年の医療費は3−4%伸びる』と主張してきた。改定率が0.82%減だった08年は、2%以上の伸びがあるはずだ」と述べ、厚労省は医療費の伸びについての見解を下方修正し、修正後の伸びに基づく医療制度改革に転換すべきとの考えを示した。(8/7MEDIFAXより)