弁護士の帯同・録音「認める」 個別指導で近畿厚生局と懇談  PDF

弁護士の帯同・録音「認める」 個別指導で近畿厚生局と懇談

 京都、兵庫の両保険医協会は6月18日、大阪合同庁舎4号館4階会議室にて、近畿厚生局と懇談した。京都協会から鈴木卓副理事長と事務局1人、兵庫協会から西山裕康副理事長(現・理事長)と事務局1人の計4人が出席。近畿厚生局から藤田医療課長、川勝課長補佐、多田医療指導監視監査官、篠田指導第一係長の計4人が出席した。

個別指導の自主返還「強制力ない」

 今回の懇談は、京都協会が4月2日に近畿厚生局京都事務所宛に提出していた「個別指導および監査の改善を求める要請と懇談のお願い」を受けて実現したもの。これに先立つ14年11月29日、近畿厚生局管内の九つの保険医協会は「個別指導・監査弁護士帯同交流会」を開催。12項目にわたる「個別指導および監査の改善を求める決議」を行っており、京都、兵庫の2協会は、決議文の中に盛り込まれた12項目について改善を求めるとともに、懇談を要請していた。
 懇談では、最初に12の改善要望事項に対する厚生局の回答が読み上げられた(2面掲載)。その回答を受けて、更に質疑応答を行った。
 まず、鈴木副理事長から「新規個別指導後の自主返還は任意で良いのか。納得できなければ拒否できるのか」と質問した。これに対して、厚生局は「行政指導という位置付けで返還金をお願いしており、強制力はない。ただし、もしも納得できないことがあれば、指導を行った行政とよく話をしていただきたい。短い指導時間の中で十分ご理解いただけないこともあろうかと思う。後日不明な点を照会、問い合わせしていただければ、お話しさせていただき十分ご理解の上で返還していただくのが筋だ」と回答した。
 また、鈴木副理事長から「新規個別指導は教育的な目的で行われるため、自主返還まで求めるのは如何なものか」と言及した。これに対して、厚生局は「適正を欠くものについては自主返還を求めている。診療報酬の財源を考慮すると返還は必要と考えている」と述べた。
 次に、兵庫・西山副理事長から「弁護士帯同は認められていると思うが、事前の連絡や、委任状が必要なのか」と質問した。これに対して、厚生局は「事前の連絡、委任状は必ずいただいている」と回答した。
 さらに、兵庫協会から「関東甲信越厚生局のように、個別指導の主な指摘事項をホームページで周知しているところがある。近畿厚生局でも検討してもらえないか」と要請。鈴木副理事長からも「陥りやすい間違いなどを把握されていると思うので、ぜひやってほしい」と要望した。これに対して、厚生局は「検討したい」と回答した。
 最後に兵庫・西山副理事長から、懇談を開催した厚生局の対応に関して感謝の意を示すとともに、「国民が安心して医療を受けることに関しては、双方同じ考えだと思う。今日のような情報交換を今後も定期的に行わせていただきたい」とあいさつし、厚生局は「保険診療の適正化につながる内容であれば、その都度検討させていただきたい」と述べ、懇談はおおむね穏やかに終了した。

改善要望に一部明確な回答得る

 近畿厚生局の回答は、ほとんどの要請項目について「指導大綱およびその他通知に基づき、各厚生局が統一的に実施している」と前置きしており、近畿厚生局管内の府県における指導、監査について、指導大綱・監査要綱その他通知で定められているものについては変更できないとの回答に終始している。
 そのような中で、以下の回答が明確になったことは、一定の成果があったと考えられる。
 「4 弁護士の帯同および録音」について、「保険医療機関が弁護士の帯同を希望した場合は、弁護士には発言・質問等が認められないこと等の一定の条件の下、帯同を認めている」と回答しており、事前の連絡と委任状の提出があれば、近畿厚生局および府県事務所が行う指導・監査では、弁護士の帯同が可能なことが明確になった。また、録音も「原則として認めていないが、保険医自身による指導内容の確認が目的である場合は認めている」と回答している。被指導者になった場合は、必要に応じて遠慮なく弁護士の帯同、録音をお勧めする。
 「7 カルテ等のコピー」について、「個別指導におけるカルテのコピーは、保険医療機関の了解を得たうえで行っている」と回答している。個別指導が健保法第73条を根拠としているため、質問検査権は付与されておらず、監査に移行しない限り、カルテ等のコピーは任意の協力によるものである。同意の求めがない場合は、確認してほしい。
 監査の場合の「11 調書への署名」について、「被監査者が監査調書の内容に加筆・訂正を求めた場合には、対応している」と明言した。仮に被監査者となった時に、監査調書に誤りがあった場合は、委縮せず加筆・訂正を求められたい。

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