府独自制度の更なる拡充を! 自立支援医療で京都府に要請  PDF

府独自制度の更なる拡充を!  自立支援医療で京都府に要請

 保険医協会は5月17日、京都府知事、京都府議会議長に対して、自立支援医療特別対策事業の改善に関する要請書、陳情書を提出した。提出にあたっては、鈴木卓副理事長と事務局が京都府庁内の保健福祉部障害者支援課に赴き、改善を求めた。

協会要望で創設された特別対策事業

 障害者自立支援医療特別対策事業(法別15)は、2008年1月1日から、京都府内の市町村が主体となり実施されている。自立支援医療のうちの更生医療の対象を拡大した地方単独事業であり、(1)呼吸器機能障害で手帳3級所持者が在宅酸素療法を受ける場合(2)膀胱または直腸の機能障害で手帳3級所持者が障害の原因疾患およびストマ周辺の感染防止等の治療を受ける場合—に、医療費の一部を助成する制度である。

 この制度ができた経緯は複雑だ。京都府の福祉医療制度である重度心身障害児者医療助成制度(法別43)は身体障害者2級までを対象とする一方、13市町が3級まで、6市町村が4級まで拡充している実態がある。在宅酸素療法の対象者は呼吸機能障害3級までが該当するが、呼吸機能障害には2級がないため、1級に認定されなければ3級となり、級別の拡大を行っていない市町村では、(法別43)の対象にはなれない。このため、協会等が長年にわたり、京都府に対して府制度を3級まで拡大してほしいと要望してきた結果、本特別対策事業が創設された経緯がある。

点数改定受けさらなる拡充を

 しかし、本特別対策事業の対象となる在宅酸素療法は、在宅酸素療法指導管理料の「2」、携帯用酸素ボンベ加算、酸素濃縮装置加算、呼吸同調式デマンドバルブ加算と、それに付随する初・再診料と動脈血酸素分圧測定に限られている。

 これについて、従前から、(1)対象医療に在宅患者訪問診療料を加えてほしい(2)初・再診料の加算が対象となることを明確にしてほしい—との要望が寄せられてきた。

 さらに、16年度改定で、(3)在宅酸素療法指導管理料が改定され、在宅酸素療法材料加算が新設。加えて、(4)在宅時医学総合管理料・施設入居時等医学総合管理料に「別に厚生労働大臣が定めるもの」の区分が新設され、その中に「在宅酸素療法指導管理を受けている状態にある者」が位置付けられたことから、これらを本特別対策事業の対象に加えてほしいとの要望が会員から寄せられていた。

 以上を踏まえ、協会は本来なら重度心身障害児者医療助成制度(法別43)を身体障害者3級まで拡充してほしいが、とりあえずの措置として、前述(1)〜(4)の点数を特別対策事業の対象とするよう京都府に求めた。

府と府議会に要請と陳情

 京都府への要請書提出にあたっては、障害者支援課の南課長、村上副課長、田丸主事が対応。京都府から、15年度実績で、本特別対策事業の受給者証発行数は439人、医療受給実人数は429人との報告があり、協会は「人数も限られているため、ぜひ制度拡充をお願いしたい」と要請した。京都府は「年度途中であり、検討したい」と回答するに止まったものの、30分近く質疑応答、意見交換を重ね、要請の趣旨を理解していただいた。要請終了後、京都府議会議長に陳情書を提出するとともに、京都府議会各会派に対して、要請書、陳情書の写しを持参して、理解と協力を求めた。

 協会は、今後も迅速に制度改善を求めていきたい。

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