府保健医療計画中間案に意見
地域の患者・医療機関に根差した提供体制の充実を
京都府は2013年4月からの新京都府保健医療計画について中間案を公表し、府民から広く意見を募るパブリックコメントを実施。これを受け、協会は1月24日、垣田さち子副理事長名で「京都府保健医療計画(中間案)への意見」を提出した。
医療計画の二面性を指摘
協会意見は、前提として今回の見直しが社会保障・税一体改革大綱に基づく医療・介護サービス提供体制改革の推進策に位置付けられている。小泉政権下の医療制度構造改革以来の医療費のための提供体制改革の手段であり、それゆえに新たな基準病床数が療養・一般病床数は現基準に比べて府全域で計1416床マイナス、丹後・中丹・南丹医療圏でさえもマイナスという医師不足・偏在に悩む地域の実態からかけ離れたものとなっている。一方で、実際の計画は、地域医療の困難打開を目指す内容を兼ね備えており、医療計画制度には二面性があることを指摘した。
医療圏ごとの社会経済条件を記述すべき
国が示した作成指針は圏域ごとの社会経済条件等に関する記述を求めている。しかし、府の中間案にそうした記述はない。府の不均衡な人口構成や経済発展の度合いが医師・医療資源の不足と直結している現実を踏まえ、府民生活に関する分析結果の記述を求めた。
診療科偏在・医師養成課題への視点を
医師不足・診療科偏在への対応については、府の地域医療支援センターを通じたオール京都体制の取り組みを評価した。一方、北部・南部地域を中心とした医師数不足だけではない、診療科偏在に対する計画の弱さを指摘。一層の診療科偏在対応策を求めた。また、京都は京都大学医学部・京都府立医科大学と二つの医師養成機関を持ち、昨今は同志社大学の医学部創設の動きがある等、他都市とは違う環境にある自治体として、医育成策についての方針も持つべきと提言した。
リハ・在宅では公的機関の役割が重要
同時に、リハビリテーション医療体制や在宅医療強化の課題では、公的機関・専門職の役割が重要と指摘。リハビリテーション医療の保障は、診療報酬制度上、算定日数制限を超えた患者さんをも視野に入れて行うべきと強調した。また、在宅医療は地域が崩壊していては成立しない今こそ、保健所や福祉事務所が主体となり、開業医や福祉関係者との連携を築いていたかつての地域保健医療体制を再評価し、公的機関・自治体専門職の役割を前提に位置付けた「地域住民の生命と健康を守る政策」が必要と迫った。
現行計画の検証が必要だ
現行計画は4疾病5事業や健康増進施策等、新たな課題を盛り込んで5年間進捗してきた。それが本当に府民の医療保障に役立ったのか。医療計画を都道府県単位の医療費抑制路線推進に利用する国の姿勢を正すためにも、検証すべきだと指摘した。
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国が一般病床の機能分化と地域包括ケアシステムの構築を一枚絵として推進する提供体制改革。その法改正は現在開会中の通常国会に提出される見通しである。協会は、真に地域の患者・医療機関の現実から出発する提供体制の充実をめざし、今後も国や京都府に対する取り組みをすすめたい。
※パブリックコメント全文はメディペーパー京都・協会HPに掲載予定
※京都府保健医療計画(中間案)は、府HPから閲覧できる
http://www.pref.kyoto.jp/hofukuki/documents/chuukanan.pdf