府と府議会に要請/子育て支援、ひとり親家庭への医療費助成拡大し老人医療費助成を改悪しないこと求める  PDF

府と府議会に要請/子育て支援、ひとり親家庭への医療費助成拡大し老人医療費助成を改悪しないこと求める

 京都府保険医協会は8月8日、京都府知事、京都府議会議長に対して京都府の福祉医療制度の改善に関する要請書・陳情書を提出するとともに、京都府議会各会派に要請書・陳情書の写しを配布して理解を求めた。

 京都府独自の福祉医療制度は、老人医療助成制度(法別41)、重度心身障害児(者)医療助成制度(法別43)、母子家庭等医療助成制度(法別44)、子育て支援医療助成制度(法別45)、重度心身障害老人健康管理事業(略称[健管])の5種類がある(制度の概要は協会発行『公費負担医療等の手引』参照のこと)

 2011年6月の府議会定例会府民生活・厚生常任委員会において、健康福祉部より「福祉医療制度の見直し」が報告された。子育て支援医療助成制度拡充の気運の高まりの一方で、高齢者が急速に増加するなど、府及び市町村は厳しい財政状況となっており、セーフティネットとして福祉医療制度を安定的に持続させていくためには不断の見直しが必要だとして、10年8月に「福祉医療制度の検討に係るワーキンググループ」が設置され、全国や府内市町村の状況調査や府民アンケートを実施、加えて考えられる制度見直しを行った場合の事業費推計等を整理した報告書(以下WG報告書)が11年3月にまとめられた。

 この報告書を受けて府健康福祉部は、「子育て支援医療の拡充等を中心に、福祉医療制度の見直しの内容及び時期を具体的に取りまとめるため、外部有識者による幅広い議論を行うための検討会を設置する」というもので、11年8月上旬に第1回検討会を開催、関係者からヒアリングを行い、秋頃、制度の見直し案を取りまとめる、としている。

 WG報告書には、子育て支援医療助成制度の対象児童の拡大や負担金額の軽減等、患者の利益となる制度見直しも提案されている一方、07年9月の老人医療助成制度に係る市町村会議で確認された事項である、対象者に世帯全員が市町村民税非課税の場合に限定し、かつ70歳〜74歳の自己負担割合及び自己負担限度額を3割→2割(現行3割→1割)とする制度改悪も打ち出されている。また、母子家庭等医療助成制度も、父子家庭を対象に追加する一方で、所得制限額を大幅に引き下げる(親子2人世帯で給与収入約860万円→365万円)案も盛り込まれている。

福祉医療6項目で要請

 WG報告書が「制度の安定的な持続」を前提にしていることから、制度の全体の拡充ではなく、制度改善と改悪を合わせて実施し、財政中立を目指すことが考えられる。このため京都府保険医協会は「当会が従前より要求している子ども医療助成制度の対象年齢引き上げと負担軽減や、身体障害者3級への拡大、訪問看護療養費を対象とする等が検討項目に挙がっていることは、当会として評価しており、是非とも12年度から実施していただきたい」と述べる一方で、「老人医療助成制度の助成割合と対象者の縮小や、ひとり親家庭医療助成制度の対象者縮小等の制度後退は、行うべきではない」との態度を表明して、以下の6項目について要請した。

 一、45子育て支援医療助成制度について、入院外の助成対象年齢を小学校卒業までに拡大し、窓口負担は無料として現物給付すること。

 一、43重度心身障害児(者)医療助成制度、[健管]重度心身障害老人健康管理事業について、身体障害者3級を対象に追加すること。また、精神障害者の対象追加を検討すること。

 一、44母子家庭等医療助成制度について、父子家庭に対する助成を追加すること。また、必要な受診の妨げとなるような所得制限は導入しないこと。

 一、41老人医療助成制度の廃止や給付割合の引き下げは行わないこと。また、必要な受診の妨げとなるような所得制限は導入しないこと。

 一、福祉医療制度41 43 44 45[健管]の助成対象を訪問看護ステーションの行う訪問看護療養費へ拡大すること。少なくとも43と[健管]に拡大すること。

 一、福祉医療制度41 43 44 45[健管]の助成対象を介護保険サービス費へ拡大すること。少なくとも訪問看護費、訪問リハビリテーション費等の居宅サービスを対象とすること。

 なお、老人医療助成制度を実施する県は減少しており、現在、10府県のみとなっている。協会では引き続き、京都府議会での検討について注視し、制度の拡充を目指して活動する。

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