広域連合議会 高齢者・医療者の願いに逆行する「決議」可決

広域連合議会 高齢者・医療者の願いに逆行する「決議」可決

宮津・京丹後・舞鶴・綾部・京都・井手・久御山の7議員が
制度存続を主張し提出―反対8、賛成19、退席1

 9月5日、京都府後期高齢者医療広域連合議会09年8月定例会が開催された。議会は後期高齢者医療制度創設以来、最初の決算(特別会計)議会であった。当初、8月に開催が予定されていたが、総選挙日程により、延期されていた。

 この議会は、08年度一般会計・特別会計決算認定等を行うものだが、「後期高齢者医療制度の堅持及び改善に関する決議(案)」が、7人の連合議会議員から提出され、審議に付されたことから、「後期高齢者医療制度廃止」をマニフェストに掲げた民主党を中心とした新政権の誕生という事態を受け、同制度をめぐって今後起こりうる事態と対策、必要な論議内容の一端を示すものとなった。

 決議案は、安達稔(宮津市)、松本聖司(京丹後市)、藤田正一(舞鶴市)、木下芳信(綾部市)、井上教子(京都市)、古川昭義(井手町)、塚本五三蔵(久御山町)の各議員の連名で提出。その内容は、後期高齢者医療制度廃止をマニフェストに掲げる民主党が総選挙で多数を占めたことを受けたもの。軌道に乗った同制度を廃止すれば、老人保健制度の問題の解決は遠ざけられ、制度の度重なる見直しにより、高齢者や医療現場に混乱を来す。保険料負担も再び引き上がることになり、高齢者の不安を増大させるとして、制度を堅持し、引き続き負担軽減を行うよう求めている。

 決議案に対する質疑では、浅井厚徳議員(宇治市)が、決議提案する緊急性を質した。対して、発議者である藤田議員が答弁。民主党のマニフェストは行程が明らかでない。よりよい政策を求めるため、提案した。総選挙後の広域連合議会は京都が最初。全国に影響を与えるものであり、ご理解をいただきたい、と述べた。

 決議案についての討論は、反対の立場で妹尾直樹議員(京都市)、米澤修司議員(京田辺市)が、賛成の立場で木下議員が行った。妹尾議員は、年齢だけで加入に線引を行う医療保険制度は世界に例がない、小手先の負担軽減で制度の問題点は解決しない、とあらためて指摘した。米澤議員は、高齢者の医療需要の増加に対しては、公費を出動するのが世界各国の趨勢であるにも関わらず、日本ではこれを医療費抑制策にすり替えた。もともと高齢者の医療を確保するための仕組みとは言えない、と強く批判した。

 しかし、決議案は賛成19、反対8、退席1で、賛成多数で可決された。この結果を受け、協会は垣田副理事長談話を発表し、広域連合議会議員に送付した。

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