平均保険料率10%超の公算/協会けんぽ12年度試算
全国健康保険協会の小林剛理事長は10月4日に会見し、2012年度には協会けんぽの全国平均保険料率が10%を超えるとの試算結果を公表した。11年度の全国平均保険料率は9.50%。仮に70−74歳の高齢者の自己負担額を1割のままとした場合には、12年度の平均保険料率は10.20%(0.70ポイント増)になる。このうち高齢者医療への拠出金による負担は0.4ポイントを占める。自己負担を2割に引き上げた場合でも、12年度の平均保険料率は10.14%(0.64ポイント増)まで高まり、いずれのケースでも10%を超える見通しとなった。
同協会の試算によると、平均保険料率を9.50%から10.20%に引き上げた場合、標準報酬月額28万円、賞与月額年1.41月とすると、被保険者1人当たりの保険料負担(労使折半前)は年額で2万6284円増(35万6706円から38万2990円に引き上げ)、月額で2190円増(2万9726円から3万1916円に引き上げ)になる。同協会は9月の標準報酬の定時決定実績を踏まえた上であらためて推計し、最終的な平均保険料率を設定する予定。
同協会は平均保険料率の「3年連続引き上げ」「10%超水準」を避けたいとしてきた。このため12年度予算の概算要求で医療費に対する国庫補助率を現行の16.4%から法律上の上限の20%に引き上げるよう政府関係者に要望してきたが、概算要求の国庫補助率は16.4%とされた。そこで同協会が12年度の収支見通しを試算したところ、70−74歳高齢者の自己負担を1割のまま据え置いた場合、必要な保険料収入は7兆1115億円となり、平均保険料率も10%の大台に乗る見通しになったという。
国庫補助率を20%に引き上げるためには、2800億円の予算が必要になる。国庫補助率20%の場合、平均保険料率は9.89%になるという。
会見した小林理事長は、被保険者1人当たりの保険給付費が増加し続けているにもかかわらず、加入者の賃金低下に歯止めがかからないことから、「保険者の努力だけでは対応できない」と指摘。国庫補助率20%への引き上げと、高齢者医療制度の見直しを引き続き要望していく構えを見せた。
試算によると、診療報酬の改定率が0.1%で平均保険料率には0.09%の影響が出る見通し。小林理事長は次期改定について「プラス改定という状況ではない。私どもの財政状況から考えれば、そう言わざるを得ない」と述べた。(10/5MEDIFAXより)