平和国家日本の堅持を  PDF

平和国家日本の堅持を

 安倍首相は、自民党憲法改正推進本部長の船田元氏と懇談し、改憲について、2016年夏の参院選後に最初の発議を目指す考えで一致したと報道された。「イスラム国」を巡る対応に絡めて改憲論議がされていることもふまえて、協会は抗議談話を発表。2月13日付で、安倍首相に届けた。以下、全文を記載する。
談話 改憲を持ち出すときではない
 安倍晋三首相(自民党総裁)は2月4日、最初の憲法改正の発議と国民投票の実施は来年夏の参院選後になるとの見通しを示したとされる。
 その前日の衆院予算委員会で、「イスラム国」による邦人人質事件との関連で9条改正について問われた安倍首相は、「我が党はすでに9条改正案を示している。なぜ改正するかといえば、国民の生命と財産を守る任務を全うするため」と応じている。テロが許しがたい行為であることは論を待たないが、その対策のために9条改正を持ち出すのは短絡的過ぎるし、それに便乗するような議論は論外だ。
 しかし、首相の「罪を償わせる」「法の裁きにかける」といった「イスラム国」への挑発的ともとれる言動からは、その先を見据えた逸りのようなものを感じざるを得ない。中東地域への対応は特に冷静な対応が必要とされ、平和主義を掲げる日本の役割は大きい。アフガニスタンやイラクなどへ武断主義で臨んだ米国が泥沼にはまった轍に追随するのではなく、平和国家というカードを生かすべきときである。
 自民党は改憲の段取りについて、実現可能性の高い「環境権」「緊急事態条項」「財政規律条項」の創設から手をつけていくとしている。かつては96条の先行改正論を姑息と叩かれ封印したが、今度は本丸の9条改正への露払いにこれらを使おうというのか。国民に正面から問わない姿勢は安倍政権に付き纏う。朝日新聞による昨年の衆院選後の調査では有権者の改憲賛成は33%に止まるとある。安倍首相は、この国民感情に正面から向き合うべきである。
国民の平和と安全のために今何をすべきかが問われているのであって、首相の政治的野心に逸るときではない。
2015年2月13日
京都府保険医協会
副理事長 渡邉賢治

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