常識と工夫70/同じ情報開示でもちょっと違います!レセプトとカルテ  PDF

常識と工夫70

同じ情報開示でもちょっと違います!
レセプトとカルテ

 レセプト開示に関しては2005年3月31日に厚生労働省が、患者さん側から請求があれば一定の条件のもとで開示するように、各保険者に対して通知を出しました。したがって、医療機関側にレセプト開示要求がされた場合は、患者さん側に保険者へ要求するように伝えて下さい。レセプトは請求書であり、いったん提出したレセプトの所有権は保険者にあるからです。ただし、現在では電子請求を行う医療機関には、診療の都度、レセプト同様に詳細な明細書の発行が義務付けられています。また、紙レセプトで請求している場合も、患者の求めがあれば発行しなければなりません(この場合、有償も可)。しかし、再発行の求めに応じる義務はありません。

 一方、カルテ開示も、日本医師会の策定した「診療情報の提供等に関する指針」の中で、原則開示と定められています。しかしながら、医師には患者さん側から開示要求をされた場合に、動揺されることもあるようです。また、カルテ開示を要求されるということは、多くの場合が医療費など経済的な問題以上に、その医療行為に対して患者さん側がより強い不信感や不満をすでに持っていることが予想されます。したがって、その後に医事紛争の気配が漂い始めます。

 世間では一般に「カルテは一体誰のもの?」といったことがいわれていますが、実感として極めて抽象的な言い回しと思われます。京都府保険医協会にそのような質問があった際は、「カルテに記載されている情報は、医療機関と患者さんの共有物ですが、カルテそのものは医療機関の所有物です」とお答えしています。

 当然ながらカルテの管理責任は医療機関側に課せられています。そんなことは当たり前だろうとおっしゃる方もおられるでしょうが、実はこの基本的な考え方がカルテ開示の際に重要なポイントとなるのです。

 次回は、カルテ開示の実際についてお話しします。

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